28日の日本市場では超長期金利が上昇(債券価格は下落)。財務省がこの日実施した40年国債入札が低調な結果となり、需給悪化を懸念した売りが出た。円は対ドルで144円台を中心にもみ合い、株式は日経平均株価が4営業日ぶりに小反落した。

入札では最高落札利回り(複利ベース)が3.135%と、市場予想の3.085%を上回った。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2024年7月以来の低水準となった。結果を受けて30年国債の利回りは一時前日比11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。20年債利回りも9bp、40年債利回りは9.5bp、それぞれ上昇した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、入札は「想定していたより弱かった」と話す。参院選の前後に財政支出が拡大することへの懸念が根強い上、ここ数日間で利回りが急低下したことも足を引っ張ったとの見方を示した。

債券

債券相場は下落。40年債入札が「低調」な結果になったと受け止められ、需給不安が高まるとして超長期債のほか先物にも売りが膨らんだ。

岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、40年債入札は応札がかなり少なく弱い結果になったとし、発行減額観測で金利が大きく下がり過ぎて投資家が慎重になったとの見方を示した。

財務省が発行額や市場環境に関する意見を尋ねるアンケートを市場関係者に送付したとの報道を受け、超長期債利回りは27日に急低下していた。

みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、40年債入札が低調な結果に終わったのは、超長期債の発行減額期待を「織り込み過ぎ」というサインだと指摘した。市場の減額期待がさらに強まるかどうかは「6月の30年債入札結果を見てからだろう」と述べた。

一方、SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、入札は低調だったものの、超長期金利はピークを打ったとの見方を示す。財務省が需給悪化に対応する姿勢を明確にする中、「相場下落が続けば減額幅が拡大されるとの期待が高まるため、超長期債の割安感は解消していく方向だ」とみている。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=144円台を中心にもみ合った。株高によるリスクセンチメントの改善や輸入企業のドル買い観測を背景に144円台後半に下げる場面があったが、前日に大幅反発したドルの調整売りが円を下支えした。

みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、仲値決済に向けた実需のドル買いも入ったが既に元の水準に戻しており、引き続きドルの上値が重い展開と述べた。

三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、前日の円金利低下を受けた円安・ドル高の流れや安心感からドル資産に資金を戻す動きがあったものの、財務省の発行年限調整を巡る材料だけでは金利上昇は止められず、ドル・円は上値が重いとみている。

株式

日本株相場は日経平均株価が4営業日ぶりに小反落。上昇して始まり、一時2週間ぶりに3万8000円台を回復したが、徐々に持ち高調整や利益確定の売りが優勢になった。

フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、低調な40年債入札が日本株の利益確定やポジション調整の動きを促した可能性があると述べた。一方、入札結果は「超長期国債の発行が減るとのストーリーを後押しする」とも述べた。

サービスや小売り、陸運など内需関連セクターが下げた。半面、人工知能(AI)向け半導体メーカーの米エヌビディアの決算発表を前に、アドバンテストやイビデンなど半導体関連銘柄は堅調だった。

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