23日の金融市場では、欧州の株式が急落し、債券が買われている。トランプ米大統領が6月1日から欧州連合(EU)からの輸入品に50%の関税を賦課する方針を示したことに反応した。

ストックス欧州600指数は一時2.3%安。高関税の対象となる自動車などが急落し、自動車株のサブ指数は一時4%を超える下げとなった。

トランプ氏は「6月1日から、EUに対し一律50%の関税を課すよう主張する」とソーシャルメディアに投稿した。

プレミア・ミトン・インベスターズのニール・ビレル最高投資責任者(CIO)は、「市場に戻っても安全だろうと思った矢先に、この有様だ」と述べ、「不確実性は強まる一方で、収まる気配は全くない。これは関税を巡る駆け引きでトランプ氏が使う典型的な戦術だ。同氏はこれを勝利の方程式だと考えているが、ある時点で反撃を受け、通用しなくなるだろう」と続けた。

ドイツのDAX指数とフランスのCAC40指数はいずれも一時3%を超える下げ。ドイツ10年債利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して2.55%となった。ユーロはスイス・フランとポンドに対して下げに転じた。

 

短期金融市場が織り込む年内にECBが行う追加利下げは65ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に拡大。年内残りの5会合のうち、25bpの利下げが3回あるとの予想を示唆する。トランプ氏の投稿以前に市場が見込んでいた年内の利下げは、あと2回だった。

トランプ氏が4月、大半の関税について90日間の停止を発表して以降、欧州株は反発を続けていた。米国と中国との間で一時的な関税の休戦が成立すると、投資家心理はいっそう改善した。だが、今回のトランプ氏投稿を受けて、ストックス欧州600は週間で1%余りの下落となる勢いだ。

ウィズダム・ツリーUKのマクロ経済調査責任者のアニーカ・グプタ氏は「少なくとも90日間の停止期限までは、関税の脅威が下火になることを市場は期待していた。だが、明らかにそうはならなかった」と指摘。「市場はボラティリティーが極度に高い局面にある。米欧が交渉するまで、これがどう落ち着くのか極めて予測しがたい」と述べた。

原題:Traders Favor Three More ECB Cuts in 2025 on Trump Tariff Threat(抜粋)

European Stocks Sink, Bonds Rally as Trump Seeks 50% EU Tariff(抜粋)

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