トランプ米大統領は21日夜、長年にわたり政府の監督下にある住宅金融大手のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)とファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の民営化を「非常に真剣に検討している」と明らかにした。

「ファニーメイとフレディマックは非常に好調で、大量のキャッシュを生み出している。今がその時期のように思える」とトランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿。「続報を待ってほしい!」としている。

トランプ氏はベッセント財務長官とラトニック商務長官、フレディマックとファニーメイを監督する連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長と協議し、最終的な判断を下すと付け加えた。

フレディマックとファニーメイは住宅ローン担保証券(MBS)市場で重要な役割を果たしており、2008年の金融危機時に連邦政府によって救済されて以降、政府の監督下に置かれている。

両社は、金融機関など貸し手から住宅ローンを買い取り、それを自社ポートフォリオに保有するか、証券化して販売するなど、流動性や安定性をMBS市場に提供してきた。

元本と利息の適時支払いを保証することで、通常なら住宅ローンに投資しない投資家を二次市場に引き込み、住宅資金の供給源を拡大している。これにより、二次市場の流動性が高まり、住宅ローン金利が抑えられる。

ヘッジファンドを含む投資家は、政府に対してフレディマックとファニーメイを管理下から外すよう求めており、そうなれば政府を含む株主が大きな利益を得る可能性がある。

パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントのビル・アックマン氏はフレディマックとファニーメイに投資。同氏は両社の民営化が実現すれば「史上最大の取引」になるとし、米政府に約3000億ドル(約43兆円)の利益をもたらすと予測している。

トランプ氏は、財政赤字への影響を懸念して自身の看板政策である減税法案の成立を阻んでいる下院保守派のグループと会談。その直後にこうした考えを示した。2社の民営化・再上場は数十億ドルの資金確保につながり、財政規律を重視する議員らの懸念を和らげる可能性もある。

ただ、民営化には批判もある。こうした決定にはリスクが伴うと指摘する向きは、特に両社が引き続きどの程度政府保証を受けるのかという点を懸念。

フレディマックとファニーメイへの政府支援が弱まれば、投資家はMBSの購入に慎重になる可能性があり、MBS需要が減れば住宅ローン金利を上昇させる圧力となり得る。

パルト氏は2月の議会公聴会で、両社を政府の監督から外す取り組みは「慎重に計画」し、住宅市場が安全に保たれ、住宅ローン金利への圧力が生じないようにしなければならないと主張。ベッセント氏もファニーメイとフレディマックに関する計画は住宅ローン金利への影響次第だと述べている。

パルト局長が語る

パルト氏はブルームバーグテレビジョンとの今月のインタビューで、自身の関心はビジネスの業績向上にあると説明。「われわれが今しているのは、これらの事業が実際にビジネスとして機能し、人々に魅力的だと感じてもらえるようにすることだ」と同氏は語った。

原題:Trump Floats a Public Offering for Fannie Mae, Freddie Mac (2)(抜粋)

(ビル・アックマン氏の見方を追加して更新します)

--取材協力:Sonali Basak.

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