「空飛ぶタクシー」を手掛ける米アーチャー・アビエーションはこれまでも空売り投資家の標的となってきたが、今回は異例の展開を迎えた。投資会社カルパー・リサーチがテレビ番組司会者ジミー・ファロン氏に対し、100万ドル(約1億4400万円)の「友好的な賭け」を提案したためだ。

ニューヨークに本拠を置くカルパーは、アーチャーが商用飛行に向けた進捗で「組織的に嘘をついた」ほか、最高経営責任者(CEO)が5月15日にファロン氏の「ザ・トゥナイト・ショー」に出演できるよう数百万ドルを支払ったと主張。ファロン氏はその1か月前にも同社の販売促進イベントに出席していた。

カルパーとしてはファロン氏に、アーチャーの事業成功に対する確信を示してもらいたい考えだ。

カルパーはファロン氏に対し、それぞれ100万ドルをエスクロー(第三者預託)口座に預け入れることを提案。アーチャーの電動垂直離着陸機「ミッドナイト」が同氏とパイロット1人、他の乗客3人を乗せて米連邦航空局(FAA)の基準を満たす商業飛行を2028年のオリンピック終了前に完了すれば、ファロン氏が賭け金の合計200万ドルを獲得。実現しない場合はカルパーが全額を慈善団体に寄付するという。

アーチャーは同年のロサンゼルス五輪・パラリンピックの公式エアタクシー提供会社に指名されており、それでこの期限が設定された。

「ザ・トゥナイト・ショー」とファロン氏の代理人にコメントを複数回求めたが、これまでのところ返答はない。アーチャーの広報担当者はカルパーの創業者であるクリスチャン・ラマルコ氏について、「さまざまな銘柄を空売りし、ゆがめることで知られている」として、同氏の主張には根拠がないとテキストメッセージで返答。ラマルコ氏は電子メールで、同社の調査内容以上のコメントを控えた。

原題:Jimmy Fallon Offered $1 Million Air-Taxi Bet by Short Seller (1)(抜粋)

--取材協力:Edward Ludlow.

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