ドイツ銀行によると、投資家の需要を巡る米国債のライバルとして日本国債の存在感が増している。日本国債の利回りが上昇し、国内投資家にとっての魅力が高まっているという。

外国為替調査責任者のジョージ・サラベロス氏は、最近の市場で米国債利回りと円相場とのかい離が見られると指摘。これが「米財政リスクの拡大を示す最も重要な指標」だと述べ、慎重な外国人投資家が米国債から資金を引き揚げている兆候だとリポートで説明した。

「米国債利回りが上昇しているのに、円高は進んでいる」とサラベロス氏。「外国人投資家による米国債市場への参加が低下している証拠と考えられる」と述べた。

米10年債利回り(右軸)とドルの対円相場(左軸)

日本の財務省が20日に実施した20年利付国債入札は不調となり、超長期国債の利回りが軒並み急上昇した。日本銀行が巨額の国債買い入れを縮小する中、投資家不在への懸念が強まった格好だ。30年国債利回りは1999年の入札開始以来、過去最高となる3.14%を付けた。

利回りの上昇はバンガードやRBCブルーベイ・アセット・マネジメントといった国外投資家を引き寄せており、国内投資家も後に続く可能性がある。

「日本国債の価格低下は米国債市場に影響し、より深刻な問題になる」とサラベロス氏は指摘。「日本の資産が国内投資家にとって魅力的な選択肢となれば、米国からの資金流出がさらに進む可能性がある」と続けた。

日本は最大の米国債保有国であり、3月末時点での保有高は1兆1300億ドル(約162兆5000億円)相当。何年も続いた超緩和金融政策の結果、国内投資家は国外資産に高い利回りを求めた。

米政府の歳出計画に対しては、必要な財源確保や十分な支出削減策を伴っていないとの懸念が米国債市場で高まっている。先週は格付け会社ムーディーズ・レーティングスの格下げで、米国は最上級の「AAA」を失った。

21日の市場で30年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して5.034%を付け、19日の高水準(5.035%)に迫った。10年債利回りは5bp余り上昇して4.54%を付けた。

ニューヨーク時間午前の円相場は、対ドルで約0.5%上昇の143円70銭付近で推移している。

原題:Treasuries Vie for Demand With Japan’s Bonds, Deutsche Bank Says(抜粋)

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