フランスの高級ブランド、シャネルの2024年決算は大幅減益となった。非公開企業である同社は、小売りネットワークの拡大やマーケティングに多額の資金を投じ、低迷する高級品業界の中で存在感を維持しようとしている。

20日の発表資料によると、営業利益は前年比30%減の44億8000万ドル(約6500億円)。売上高は比較可能なベースで4.3%減少した。同社の売上高の約半分を占める中国を含む地域は、7.1%の減収。米州の売上高は4.2%減少し、欧州では0.6%の微増にとどまった。

中国の消費者が高額な買い物を手控えるようになったこともあり、高級品市場は低迷からなかなか抜け出せずにいる。トランプ米大統領が先月、世界各国・地域からの輸入に対する関税措置を発表したことで、業界の見通しはさらに暗くなっている。

リーナー・ナーイル最高経営責任者(CEO)はブルームバーグとの電話会議で、昨年は中国を中心とするマクロ経済の変動で大きな打撃を受けたと指摘。24年の業績について、「当社の売上高は過去3年でほぼ倍増しており、そうした前例のない成長期の後だった」ことが影響したと分析した。

フィリップ・ブロンディオ最高財務責任者(CFO)は電話会議で、「当社のような規模の企業がこうしたサイクルの変化に直面する場合、組織のさまざまな部分で構造を調整する必要がある。利益率の安定化に向けてコストを極めて慎重に監視していく」とした。

さらに、人員については昨年は5.1%増えたが、今年は横ばいの見通しだと説明した。同社は今年に入り米国で70人を削減すると発表している。

それとは別に、同社は米国での商品価格引き上げを当面見送る方針を明らかにした。トランプ政権の関税措置に関する最終決定を待つという。

「不確実な状況にある今は決断を下すには時期尚早だ」とブロンディオ氏は語った。

同業のLVMHやエルメス・インターナショナル、高級ブランド「カルティエ」を展開するリシュモンなどは最近、米国で自社商品の値上げを実施している。

原題:Chanel Profit Tumbles as Luxury Industry Downturn Hits Sales (1)(抜粋)

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