欧州当局者は多様性・公平性・包摂性(DEI) プログラムを排除する米国の取り組みにどう対処すべきか慎重に検討している。

欧州各地にある米国大使館はここ数週間、米政府と取引のある企業や官公庁に書簡を送り、トランプ米大統領就任後の米国の法律に違反するようなDEI関連プログラムを実施していないことを証明するよう要求している。

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会はこの問題を認識し、加盟各国と連携しながら影響を精査し、対処方針を検討していると同委の報道官はブルームバーグに明かした。ジェンダー平等などDEIに関する問題は欧州法に明記されている。

米国務省報道官は、トランプ氏が発出したDEI禁止の大統領令をルビオ国務長官が徹底する方針だと電子メールで説明した。

こうした米国の取り組みに対し、欧州では政治家や企業幹部から困惑する声が上がっている。

ストックホルム市のバレスコグ副市長(都市計画担当)は、5月初めにこの書簡を受け取った際、職員たちは「衝撃」を受けたと述べた。在スウェーデンの米大使館は同市に対し10日以内にDEI廃止の命令に従うことを確認するよう求めたという。

バレスコグ氏は「もちろん、そんなことはしない。われわれにとって多様性、公平性、包摂性の取り組みは極めて重要だ」と述べ、スウェーデンでは法的義務だと付け加えた。

欧州はすでに環境・社会・企業統治(ESG)に関する規制でも米国からの圧力に直面している。ラトニック米商務長官は、こうした規制に対抗するため「貿易措置」を含むさまざまな手段を講じる意向を示している。DEIを巡る今回の対立で米欧間の緊張はさらに高まる恐れがある。

原題:US Letters Leave Europeans ‘Shocked’ as DEI Standoff Intensifies(抜粋)

--取材協力:Isolde MacDonogh、Nick Wadhams.

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