(ブルームバーグ):21日の外国為替市場の円相場は1ドル=144円台前半で推移。イスラエルがイラン核施設への攻撃を準備しているとの報道を受け、リスク回避の動きからドル売り・円買いが優勢だ。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「本来なら地政学リスクが浮上すれば円だけでなくドルも買われるが、今は即ドル売りにつながっている」と指摘。円はじわじわとレンジを切り上げ、まずは142円を目指すとの見方を示す。
みずほ銀行国際為替部の加藤倫義ディレクターは、ドルはリスク回避通貨としての「神通力がなくなっている」と分析。一方、日米の通商協議を巡っては「株価に悪影響を与えない程度にゆっくり円高が進むのが日米双方にとって都合が良い」との認識を示した上で、金融当局が考える円・ドル相場の落とし所は「多くの市場参加者が想定する140円ではなく130円」と述べた。

オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、日米通商協議ではこれまで為替への言及はないし、米格下げは予想されていた内容だったし、超長期金利上昇は円売り材料ともとれるはずなのに、「ドルは雰囲気だけで下げている」と指摘する。今後の日米協議で何も出なければ、「日米2年金利差からみたフェアバリューである147~148円までドルが買い戻される余地は十分ある」とみている。
20日のブルームバーグ・ドル指数は前日比0.2%低下し、米10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.49%程度だった。
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