香港で長年人気の居酒屋「ヤードバード(Yardbird)」を手がけたチームが、姉妹店「ローニン(Ronin)」の閉店を受けて、新たな居酒屋「オールウェイズ・ジョイ(Always Joy)」をオープンさせた。

この新店舗では、毎日仕入れる新鮮な食材を使った日替わりメニューの数々が提供される。ローニンと同様にモダンな和食に軸足を置きつつ、広東料理のエッセンスも加えた食の融合を試みる。

メニューは比較的コンパクトだが、風味や食感のバリエーションが豊富で、あれこれ試してみたくなる。迷ったときには、料理と仕事に情熱を持つスタッフに相談するとよい。

私たちの場合、味見をしたくても食べきれるか心配だったので、(メニューに載っていない)ハーフサイズの料理を頼み、ずっと前に閉店した系列サンドイッチ店の思い出話に花を咲かせた。

ドリンクメニューは完璧で、提供する飲料についてバーテンダーやスタッフが理解しているのは明らかだ。カクテルはハーバル(薬草)系やかんきつ系、ドライなテイストが中心。私のゲストが試したのはヤードバードの梅酒を使った「ウメハイ」のほか、クラフトジンのROKU(六)や「だいやめ」焼酎などが入った「フジロック」で、どちらも絶賛していた。また、ノンアルコールドリンクのメニューも充実している。

今回は2人で小皿6品(一部ハーフサイズ)、大皿3品、デザート1品、カクテル2杯、モクテル1杯をいただき、料金は全部で2003香港ドル(約3万7000円)だった。

ちなみにデザートは1種類のみだが、絶対に省いてはいけない。

本日の刺し身

雰囲気:姉妹店ヤードバードと同様にクールで洗練された空間だが、ここでは音の環境が大幅に改善されている。音響設計をどのように調整したのかは分からないが、落ち着ける居心地の良さが演出され、騒がしい印象のヤードバードとは一線を画す。会話を楽しみたい人に最適の場所だ。

ミーティングは可能だろうか。答えはイエスだ。ボックス席があるほか、テーブル間の距離も十分で、プライベートな打ち合わせに対応。ただ、この店の主役がオープンキッチンであることを忘れてはならない。ステンレス製の見事なキッチンは、恐らく香港で最長クラスだ。シェフの情熱とエネルギーを体感できる席を選ぶのがお勧めだ。

料理:モダンで豊かな味わい。本日の刺し身(この日はウニ、メカジキ、タイ)は味付けされており、しょうゆは不要。キュウリの花の天ぷらはサクサクで甘く、カリフラワーのサラダ(カシューナッツと玉ねぎのピクルス入り)も驚きのおいしさだった。

私のゲストはイトヨリダイとキャベツのピクルスの一品がお気に入りで、かぼちゃ餅のバターしょうゆとセージ添えは絶妙な甘辛バランスだ。ヤードバード系列店の長年のファンの間では、「日替わりサンドイッチ」も好評。

最後のデザートにはこの店の魅力が凝縮されている。そばのグラノーラと赤しそが添えられたストロベリーサンデーは、味のバランスが抜群で必食の一品。「シェアしなければよかった」と後悔するレベルなので、ぜひ1人1皿ずつ頼んでほしい。

注文のコツ:食事の構成を一品メニューから直感で決めるのは難しいかもしれない。例えば、クリーミードレッシングのサラダにかんきつ風味の刺し身、スモークサーディンとナスのサンドイッチなど、食べ合わせにやや違和感のある場合も。スタッフに相談しながらバランスよい組み合わせを選ぶのが正解だ。

基本情報:オールウェイズ・ジョイは上環の永楽街148番地の1階にあり、ヤードバードのすぐ近く。営業時間は火曜-土曜日の午後6時-深夜0時まで。予約はこちらから可能。

原題:Team Behind HK’s Yardbird Opens New Izakaya Always Joy: Review(抜粋)

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