(ブルームバーグ):米伝説的ラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)が、音楽ストリーミング大手のスポティファイ・テクノロジーと和解し、同サービス上で最新アルバムをリリースした。スポティファイを最も声高に批判してきたアーティストの一人だっただけに、ファンを驚かせた。
スポティファイはここ数週間、スヌープ・ドッグと交渉を重ね、同社のビジネスの仕組みを説明していた。最終的に手を組むことで合意し、スポティファイ上での最新アルバム「イズ・イット・ア・クライム?(Iz It a Crime?)」の配信が15日に始まった。
スヌープ・ドッグは、スポティファイが「理解と明確さを示してくれた」とし、「意見が一致した」とコメントした。
アーティストらから長年非難されてきたスポティファイにとって、スヌープ・ドッグとの和解は大きな勝利だ。同社はサブスクリプション(定額課金)ベースのストリーミングサービスで10年余りにわたって成長を続けてきたが、アーティストからは十分な報酬を支払っていないと批判されてきた。
スポティファイの現在の時価総額は1300億ドル(約18兆8800億円)と、ユニバーサル・ミュージック・グループ (UMG)とワーナー・ミュージック・グループ(WMG)の合計を上回る。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、スポティファイのダニエル・エク最高経営責任者(CEO)の純資産は86億ドルで、世界のどのアーティストよりも多い。
スヌープ・ドッグは昨年のブルームバーグ・スクリーンタイム会議と2023年のミルケン研究所グローバルコンファレンスでスポティファイを批判。自身の楽曲が10億回以上再生されたにもかかわらず、受け取ったのは4万5000ドル未満だと述べ、一部の曲を同サービスから削除した。スポティファイはこれに反論し、著作権使用料ははるかに大きい額だったはずだと指摘した。
スヌープ・ドッグが最新アルバムのリリースを準備する中、ビジネスパートナーのラリー・ジャクソン氏がスポティファイ幹部との面会を調整し、音楽業界の著作権使用料の複雑さを話し合う機会が設けられた。著作権使用料は、演奏家や作詞家、レコード会社、出版社、演奏権管理団体、ストリーミングサービスの間で分配される。
スヌープ・ドッグは、不満はスポティファイではなく、ストリーミング業界全体に向けられたものだと述べた。依然としてこのモデルを好まないが、もはやスポティファイ自体を非難することはないとした。
原題:Snoop Dogg Makes Peace With Spotify, Releases New Album(抜粋)
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