欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は15日、最近見られる貿易摩擦がこれまで米国の政策転換による影響を乗り越えてきたユーロ圏の金融システムを揺るがし得ると警鐘を鳴らした。

同副総裁はアムステルダムでの会議で、ユーロ圏の金融安定性は「健全」だと述べた上で、世界的なサプライチェーンに深く組み込まれているユーロ圏は関税の影響を受けやすいと指摘。また、規制緩和や国際協調後退も他のリスク要因として挙げた。

「金融・非金融セクターともに全般的に強靱(きょうじん)さを示しているが、油断は禁物だ」と主張。「この極めて不確実かつ変動の激しい環境では、テールイベントが起こる可能性は依然として高い」との考えを示した。発生確率は低いものの、発生すれば甚大な影響を及ぼす事象がテールイベントだ。

デギンドス副総裁はまた、「ドル建て資産への大きなエクスポージャーが、米市場のショックや為替変動による追加的な波及リスクを高める可能性がある」とも警告。貿易摩擦や高水準の資金調達コスト、経済成長の弱さがユーロ圏の企業や家計にとって引き続き逆風となる恐れがあると述べた。

さらに、米国の軍事支援が弱まる中での欧州再軍備が、一部地域で財政への圧力を高めそうだと分析。「現在の地経的課題を踏まえれば、防衛費増額や大規模なインフラ投資は正当化されるが、それにより財政収支が悪化する公算は大きい」と話した。

原題:ECB’s Guindos Warns Financial System Still Facing Trade Risk (1)(抜粋)

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