(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、ビルロワドガロー・フランス銀行(中銀)総裁は、世界的な通貨戦争が今起きているとの見方を否定した。
同総裁は地方紙発行グループEBRAとのインタビューで、ユーロ圏が通貨戦争に突入しているのかと問われ、「そうは思わない」と述べた。
「残念ながら貿易戦争の脅威はあるが、通貨戦争とは各国が為替レートを積極的に利用して経済的な優位を得ようとする状況を指す。現時点ではそうではない」と指摘し、「現在の為替変動は、経済見通しの修正が主な要因だ」と話した。
トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争が金融市場を揺さぶり、ドルは下落。これによってドル覇権が揺らぐとの臆測が一部で出ている。こうした状況下で、ユーロは今年に入り大きく上昇している。
ビルロワドガロー総裁は「依然としてドルが国際通貨体制の中心的な役割を担っている。米当局は政治的立場に関係なく、常にこの中心的役割に強くコミットしてきた。ドルに対する信認を損なうような今の動きは、この目標に反する」との見方を示した。
米国と中国の競争が為替市場にどう影響しているかについての質問に対し、同総裁は米中の違いに言及。
「ドルの水準は市場によって決まるが、その管轄は米財務省と連邦準備制度にある。この点で、トランプ政権の現在の意図はやや不透明だ」とする一方で、「人民元を巡り中国当局による異常な金融行動は見られない」と語った。
原題:ECB’s Villeroy Doesn’t Reckon the World Is in a Currency War(抜粋)
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