(ブルームバーグ):15日の米株式市場で、世界最大の農業機器メーカー、米ディアが過去最高値を更新。トランプ米政権の関税措置の影響で通期利益見通しを下方修正したものの、2-4月(第2四半期)の利益は最も高いアナリスト予想を上回った。
投資家の間ではディアの最悪期は終わったとの見方が強まっている。農業市場は安定化し、関税を巡る米国と中国の対立も和らぎつつあるとみられ、来年の販売回復に向けたお膳立てが整いつつある。
ディアの投資家向け広報(IR)ディレクター、ジョシュ・ビール氏はアナリストとの電話会議で、米国の農家は現在、安定した農作物価格や投入コストの低下、政府補助金の恩恵を受けていると指摘。「関税の影響を除けば、北米の農業市場にはある程度の安定性が見込める」と語った。
2-4月期の純利益は前年同期比で24%減少したものの、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均を大きく上回った。売上高も予想より小幅な減少にとどまった。
ディア株は3.8%高で終了。一時6.8%高を付けた。今年に入り21%上昇している。
同社は2025年10月期(24年11月-25年10月)について、純利益の予想レンジ下限を2億5000万ドル(約364億円)引き下げ、47億5000万ドルとした。トランプ大統領の通商政策は依然としてリスク要因で、「不確実性の高まり」を理由としている。
同社はアナリストとの電話会議で、関税の影響で通期のコストが5億ドル増える見込みで、そのうち約1億ドルを2-4月期に計上したと説明。値上げと経費削減でコスト増に対応する方針を示した。
シティグループ・グローバル・マーケッツのアナリスト、カイル・メンゲス、ランディ・マーカー両氏は顧客向けリポートで業績見通しについて、「関税の影響は予想されたほど深刻ではない」ことがうかがえると指摘した。
原題:Deere Surges to Record on Optimism for Upturn in Farm Economy(抜粋)
--取材協力:Michael Hirtzer.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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