中国では、風力・太陽光発電による電力供給が増加する中、二酸化炭素(CO2)排出量が減少している。だが、世界最大のCO2排出国である同国がエネルギー移行を順調に進めるには新たな技術革新が必要だと研究報告書が指摘している。

独立系研究機関、エネルギー・クリーンエアー研究センター(CREA)によると、中国のCO2排出量は2024年3月から1%減少した。再生可能エネルギー発電の記録的な伸びが新たな電力需要を満たし化石燃料が置き換えられたことが背景にあるという。

同センターのラウリ・ミルビエルタ研究員によると、中国ではこれまでも排出量の短期的な減少は見られていたが、クリーンエネルギー発電の増加が主因となったのは今回が初めてだという。

ミルビエルタ氏は、「過去12カ月は、中国のCO2排出量にとって重要な転換点となる可能性がある。クリーンエネルギーの伸びが初めて電力需要の増加を上回り、発電部門において化石燃料の使用と置き換わる形となった」と指摘した。

 

一方、クリーンエネルギー分野のシンクタンクであるエンバーの報告書によると、風力タービンや太陽光パネルの大規模導入だけで中国が脱炭素化を進めるには限界が近づきつつある。中国が今後もエネルギー移行を支えていくには、長期貯蔵やスマートグリッド、炭素除去といった技術を迅速に実用化する必要がある。

今のところ風力と太陽光がけん引役となり1-3月(第1四半期)に大量の電力を発電したため、電力部門のCO2排出量が5.8%減少したと、ミルビエルタ氏は指摘。米国の関税引き上げを前に工場が製品の出荷を急ぎ中国の金属・化学産業ではCO2排出量が増加したものの、全体の排出量は1.6%減少した。

原題:China’s Path to Deeper Carbon Cuts Hinges on Next-Gen Tech (1)(抜粋)

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