サマーズ元米財務長官は、過度に攻撃的な保護貿易主義的措置をトランプ政権が一部緩和したとして前向きに評価するとともに、特に中国との貿易協議で90日間の関税率引き下げなどの合意を取りまとめたベッセント財務長官の手腕を称賛した。

サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ベトナム戦争やイラン、アフガニスタンでの紛争の場合のように、米国の歴史で最大の失敗の多くは、ミスを犯しても撤退しようとせず、実現不可能な取り組みに固執してしまうことにあった」と指摘した。

その上で、「失敗を犯し、何か思慮を欠くことを行った場合、可能な限りの自尊心を保ちつつ、撤退するのが賢明だ」と語り、トランプ大統領が主要貿易相手国・地域への広範な関税措置を発表して、中国との間では高関税賦課の応酬となって以降、政権による三つの対応を挙げた。

具体的には、中国を除く貿易相手に対する上乗せ関税の90日間停止、英国との枠組み合意、中国との相互の関税率引き下げの合意を指摘。このうち対中合意をまとめた「ベッセント長官の指導力に敬意を表する」とし、合意を受けた米株価上昇に言及して、「米経済にとって良いことだ」と語った。

米国への圧力

サマーズ氏は「米国は対中戦略を必要としている」とした上で、「それでも、先に講じられたような広範で無差別の攻撃では主に、米国民は貧しくなったと感じ、インフレ高進を招くことになり、正しい方法ではない」と論じた。

米政府としては「バービー」人形までも対象とするような広範囲の保護貿易主義的戦略ではなく、中核的な利益に重点を置く必要があると発言。また、米国は民主主義国として国民の声に「敏感」でなければならず、妥協点に達しなければならない圧力は中国の場合よりも大きいと述べた。

そして、「トランプ政権のこのような現実主義的対応は喜ばしい」としつつも、「ここに至る経緯は過度に攻撃的・好戦的かつ誤ったアプローチであり、そこから大きくは後退したが、完全には撤回されていない」と論評した。

原題:Summers Salutes Bessent on China Deal, Says US Retreat Pragmatic(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.