米アップルは自社のウェブブラウザー「サファリ」について、人工知能(AI)を活用した検索エンジンに焦点を当てた形に再構築することを積極的に検討している。サービス部門責任者エディー・キュー氏が7日、米司法省によるアルファベットに対する訴訟での証言で明らかにした。

この訴訟の中心は、アップルとアルファベット傘下グーグルの間で結ばれている年間約200億ドル(約2兆8700億円)と推計される契約にある。同契約に基づき、アップルのスマートフォン「iPhone」などに標準搭載されているサファリで検索を行う際のデフォルト検索エンジンにはグーグルが採用されている。

エディー・キュー氏

同氏は、サファリでの検索数が4月に初めて減少したことに言及し、人々がAIを使うようになったためだと指摘。オープンAIやパープレキシティAI、アンスロピックなどのAI検索プロバイダーがいずれ、グーグルのような従来型の検索エンジンに取って代わるとの見解を示した。

さらに、アップルが将来的にサファリの選択肢として、それらの企業のサービスを追加すると考えているとも述べた。

同氏の発言が伝わると、グーグルの親会社アルファベットの株価は急落。一時8%安を付けた。アップル株も一時2.5%安と軟調。ハイテク銘柄の比重が高いナスダック100指数も下げに転じた。

キュー氏は、パープレキシティとはすでに協議を行ったとも説明。「AIが登場する前は、他に妥当な選択肢がないというのが私の感覚だった。しかし今では、新たな企業がこれまでとは異なるアプローチでこの課題に取り組んでおり、はるかに大きな可能性があると感じている」と語った。

テクノロジーの進化は非常に速く、数年後には今と同じデバイスを使っていないかもしれないと同氏は発言。「突飛に聞こえるかもしれないが、10年後にはiPhoneが必要なくなるかもしれない」と述べ、「真の競争が生まれるのはテクノロジーの転換が起きた時だけだ。テクノロジーの転換が新たなチャンスを生み出す。AIは新たなテクノロジーの転換だ」と続けた。

原題:Apple Explores Move to AI Search in Browser Amid Google Fallout(抜粋)

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