(ブルームバーグ):米メタ・プラットフォームズがルイジアナ州に建設中の大規模データセンター向けに260億ドル(約3兆8300億円)を資金調達する案件で、主幹事の座を巡り激しい競争が繰り広げられた。その一因はメタが提示した特別な投資家保護策だった。
資金調達は複雑なスキームで行われる。データセンター「ハイペリオン」は合弁会社が建設・保有し、メタは20年間のリース契約で利用する。そのためメタ本体のバランスシートに債務は計上されず、人工知能(AI)分野への積極投資に向け財務余力を確保できる。
メタはさらに好条件を提示した。事情に詳しい関係者によると、同社がリース契約を途中で打ち切るか、更新しないことを選択し、データセンターの価値があらかじめ定めた水準を下回った場合は、投資家の損失を補填(ほてん)するという保証だ。
こうした契約は「残存価値保証」と呼ばれ、対象資産の価値が下落した際に投資家を保護するものだ。ただ、これほど大規模なデータセンターで適用されるのは前例がなく、新たな先例になると関係者は指摘する。AI向けのインフラ構築には数年を要する一方、技術革新によってデータセンターが時代遅れになる可能性もあるため、メタは多額の資金拠出を投資家に促す狙いで、この保証を提示した。
ニュー・マウンテン・キャピタルでネットリース不動産戦略を率いるテディ・カプラン氏は「この種のデータセンターは、その特殊性と建設コストの高さにおいて前例がない」とし、「将来的に技術革新が進めば、これらの施設が利用価値を失ったり、場合によっては使えなくなる可能性も極めて高い」と指摘した。同氏はメタの案件には関与していない。
モルガン・スタンレーが主導した1カ月の選定プロセスを経て、メタは260億ドルの資金調達スキームの主幹事としてパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO=ピムコ)を選んだ。合弁会社にはブルー・アウル・キャピタルが30億ドル出資する。
メタとPIMCO、ブルー・アウル、モルガン・スタンレーはいずれもコメントを控えた。
原題:Meta’s Backstop Is Linchpin for $26 Billion AI Data-Center Deal(抜粋)
--取材協力:Natalie Wong、Riley Griffin.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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