ユーロ圏のインフレ率は4月に予想外の横ばいとなり、基調的なインフレ率は伸びが加速した。米国の関税措置が域内経済に及ぼす影響を見極めている当局者にとって判断が難しい結果となった。

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が2日発表した4月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比2.2%上昇で、前月と同じ伸び率。ブルームバーグがまとめた予想は2.1%上昇への鈍化だった。

変動の激しい項目を除くコアCPIは前年同月比2.7%上昇。市場予想では2.5%上昇が見込まれていた。当局者が注視するサービスインフレ率は3.9%に加速した。これはイースター(復活祭)に伴う祝日が例年よりも遅れたことが影響しており、5月には鈍化すると見込まれている。

4月のユーロ圏消費者物価指数:速報値(表)

4月の結果は欧州中央銀行(ECB)当局者がここ最近示唆してきた楽観的な見方を一部後退させる可能性がある。当局者の間では、トランプ米大統領の関税措置がもたらす打撃への懸念が強まっており、企業が投資を先送りし、消費者が購入を控える中で、経済活動の回復は従来考えられていた以上に緩やかになる恐れがある。

通商を巡る混乱が域内の物価に与える影響は不透明だが、政策当局者の大半は今のところ、物価を抑える方向に働くと考えている。成長の減速に加えて、ユーロ上昇やエネルギーコストの低下はいずれも物価上昇圧力を抑制するとみられ、ECBが次回6月に発表する経済予測は下方修正もあり得る。

 

原題:Euro-Zone Inflation Holds Above Target as ECB Weighs Cuts (1)

(抜粋)

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--取材協力:Joel Rinneby、市倉はるみ、Barbara Sladkowska.

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