米国では経済政策を巡る不確実性が急速に増大している。米国の経済政策不確実性指数は第一次トランプ政権時を大きく上回る水準に上昇。米国政府の関税方針の振れが原因で先行き不透明感が高まっている。

不確実性が拡大すると、企業は投資費用を回収できない事態に備えて、投資判断を先送りする傾向がある。すでに、企業の設備投資意欲は低下しており、ニューヨーク連銀の4月調査によると、 製造業では先行きの設備投資の増加を見込む企業が前月から減少しているほか、非製造業では設備投資を減少させる企業が増加している。

不確実性の高い状況が継続する場合、米国の設備投資は落ち込む可能性がある。経済政策不確実性指数と設備投資の間には逆相関の関係がある。仮に、足元と同様の水準で不確実性指数が高止まりした場合、実質設備投資は▲4.3%(約9兆円)減少する試算だ。内訳をみると、陳腐化のスピードが速く、更新投資需要の強いソフトウェアなど知的財産投資の減少幅は小さい一方、機械投資や建設投資など投資コストが大きい案件については、不確実性の高まりが与える影響が大きい。

(※情報提供、記事執筆:日本総合研究所 調査部 研究員 森田一至)