日本銀行は、国内外の金融市場で存在感を増す海外ノンバンク向けの投融資が拡大している日本の金融機関について、海外金融資本市場などのショックの影響が及ぶ可能性が高まっていると警鐘を鳴らした。金融システムリポートを23日に公表した。

同リポートによると、日本の金融機関はこれまでの国内の低金利環境を背景に相対的に高利回りの海外向け投融資を拡大。海外ノンバンク向けでは投資信託やファンドへの貸し出しを増やしている。多くの投資ファンドと相関の高いポートフォリオを持つ金融機関も増えており、海外市場やノンバンク部門に生じたショックが過去と比べて「広範に伝播する可能性が高いことに注意する必要がある」とした。

海外ノンバンクの対内証券投資残高も増え、株式・国債市場で一定のプレゼンスを占めるようになった。特に2022年以降、先物などオフバランス取引が多いヘッジファンドが投資を急拡大。24年8月に市場が大きく変動し、投資家のリスク心理が悪化した局面では、先物での株式売りなど「ヘッジファンドのポジションの巻き戻しが本邦金融市場や資産価格に相応の影響を与えたとみられる」と分析した。

トランプ米政権の関税政策などを受けて先行き不確実性が高まる中、国際金融資本市場も不安定な状況が続いている。現時点で金融問題にまで発展する可能性は小さいとみられているものの、日銀では海外ノンバンクの動向を含め、日本の金融機関、金融システムの状況を引き続き丁寧にモニタリングしていく考えだ。

安定性を維持

リポートでは、日本の金融システムの現状について「全体として安定性を維持している」との認識を据え置いた。貸出金利が上昇する中でも、金融仲介活動に大きな不均衡は認められないという。マクロ・ストレステストを踏まえ、日本の金融機関はリーマンショック級のストレスにも耐え得る、「充実した資本基盤と安定的な資金調達基盤を有している」と評価した。

日銀は、4月30日と5月1日に開く金融政策決定会合で新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)について議論し、金融面の不均衡なども点検する。

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