(ブルームバーグ):全米鉄鋼労働組合(USW)はベッセント米財務長官に宛てた書簡で、日本製鉄へのUSスチール売却は安全保障だけでなく全米の鉄鋼産業にもリスクをもたらすと訴えた。
大半の鉄鋼生産設備を運営し強い影響力を持つUSWは、売却されれば日本製鉄がUSスチールの意思決定に影響を及ぼすと指摘し、このリスクはいかなるシナリオにおいても克服不可能だと主張した。日本製鉄を「常習的な不公正貿易の担い手」と表現し、世界的な生産過剰に拍車をかけていると批判。トランプ大統領が貿易に関して頻繁に用いる強硬なレトリックを踏襲した。
これらのコメントが示唆するのは、バイデン前政権当時に売却を阻止したUSWが今も反対姿勢を崩していない現状だ。一方のトランプ大統領は首尾一貫しない姿勢で再審査の結果を待っている。トランプ氏が再調査を命じたことで、投資家の間では合意復活への希望が広がったが、トランプ氏はUSスチールの過半数株式を日本製鉄が取得するのは望まないと繰り返し述べている。
トランプ氏は7日、日鉄によるUSスチール買収提案について対米外国投資委員会(CFIUS)に新たな審査を命じ、45日以内に報告するよう指示した。 CFIUSの委員長はベッセント財務長官が務める。
USWのデービッド・マッコール会長は「米国内の鉄鋼生産能力を確保し、安全保障面でのニーズを満たすには、いかなる緩和措置も十分ではない」と書簡で述べた。
原題:Union Tells Bessent Risks of Nippon Steel Deal Are Too Great(抜粋)
--取材協力:Josh Wingrove.
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