加藤勝信財務相兼金融担当相は22日、国際会議への出発を前した会見で、トランプ米政権の関税政策を巡る懸念を各国と共有し、不確実性を減らすために連携して取り組む考えを示した。

米関税措置やそれに伴う各国の措置などが世界経済や金融資本市場に与える影響について、各国がいろいろ懸念を持っていると思うと発言。こうした点を共有し、「大事なことは不確実性を軽減すべく、われわれとしてしっかり連携を取っていく」ことだと述べた。

加藤氏は同日、世界銀行・国際通貨基金(IMF)春季会合や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議など一連の国際会議出席のためワシントンに向けて出発する。現地ではベッセント米財務長官との二国間協議の開催も調整している。

加藤氏は、日米間の為替の問題については「ベッセント財務長官の間で緊密に協議していくこととしている」と述べた上で、「訪米時にはこうした機会を活用して長官と協議をしたい」と語った。

足元の為替市場で円は1ドル=140円台後半と、7カ月ぶりの高値圏で推移している。トランプ大統領によるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長批判などでドル売り・円買い圧力が続く中、市場は開催が見込まれる日米の財務相会談を注視している。

支援体制の強化必要  

加藤氏はこの日併せて、米関税措置による影響を踏まえた対応に関する談話を発表。国内の中小企業などに資金繰りの影響が出る可能性があるため、金融支援体制の強化が必要との認識を示した。

具体的には、金融機関に対して中小企業・小規模事業者への資金繰り支援の徹底を要請。相談窓口の設置・運営や、返済猶予・条件変更など柔軟な対応を求めた。

また、現在半年ごとに実施している各金融機関の貸付条件変更など対応状況の報告や公表について、4月分からは銀行・政府系金融機関は1カ月ごと、協同組織金融機関は3カ月ごとと頻度を高める。金融庁に専用相談窓口を設置し、資金繰りの不安など幅広く相談に対応する。

加藤氏は、金融庁が実施した企業へのヒアリング調査の結果について、現時点では米関税措置によって「資金繰りや地域経済への具体的な影響はみえてないが、今後の影響を懸念する声が一定程度聞かれた」と述べた。

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