補正見送りでエネルギー補助のみ
そもそも、少数与党の石破政権が補正予算を成立させるためには、野党の賛成が不可欠です。参議院選挙前にそうした合意が形成できるとは、なかなか考えられません。「強力な」とは言ったものの、結局は「現状維持」、「何もしない」ことに落ち行くと言う、石破政権お決まりの、早い幕引きとなりました。
補正予算が見送られるのであれば、大きな物価高対策を打つことはできません。7000億円程度の予備費の範囲内でと言うことになります。減税も現金給付もなく、残ったものは、結局、ガソリンと電気・ガス代への補助金です。
ガソリンについては、暫定税率廃止をめぐる自民・公明・国民の3党の枠組みがすでにあったことから議論が先行しました。現在の1リットル=185円をめどにする補助に加え、10円程度、補助を拡充する案が有力です。
3月でいったん打ち切られた電気・ガス代への補助金は、6月から8月の間、酷暑対策として復活させる案が検討されています。要は、これまでの対策の再開に過ぎません。
食料品への支援は手つかず
今回のインフレ局面でもっとも影響を受けたのは、輸入に依存する食料品とエネルギー価格でした。食料品やエネルギーの価格高騰は、中低所得者にひときわ厳しくのしかかります。エネルギーについては、補助金で対応してきましたが、食料品は全く手付かずです。
3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食品)は、前年同月比3.2%もの上昇と2月の3.0%からさらに騰勢を強めています。足もとでインフレ加速の要因の大半は食料品の値上がりで、中でも、主食のコメが1年前に比べ2倍になったことが響いています。
主食の価格が1年で倍になれば、普通の国なら、政権の1つや2つが吹っ飛ぶことでしょう。遅すぎた備蓄米放出は、未だ効果が現れません。コメの小売価格を引き下げるための、多岐にわたる、ダイナミックな緊急対策が必要なはずです。農水省任せでは、絶対にできません。