米ハーバード大学の元学長であるラリー・サマーズ元財務長官は、同大学への攻撃を強めるトランプ大統領を強く非難。今週に入ってトランプ政権が明らかにした助成金の支払い凍結については「法的な根拠を完全に欠いている」とし、こうした動きは「暴政」につながりかねないと警告した。

サマーズ氏は16日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「ハーバード大に対して行われていることは、決して個別の事案ではない。これは政権に異を唱える機関を抑え込もうとする、広範かつ抜本的な取り組みの一環だ」と語った。

サマーズ元財務長官は、トランプ政権によるハーバード大学への対応を批判した

トランプ氏は15日、ハーバード大学が非課税資格を失う可能性があるとソーシャルメディアへの投稿で示唆した。数十億円の助成金と引き換えに、政府による構内方針変更の求めに応じなかった同大に対し、締め付けをさらに強めている。

トランプ政権は、ハーバード大がキャンパス内の反ユダヤ主義の扱いを誤ったとし、入学審査や採用方針などを変えるよう求めている。これに対し、同大のアラン・ガーバー学長は「独立性と憲法上の権利を放棄することはない」として、政府の要求を拒否した。

サマーズ氏は、ハーバード大がユダヤ人に対する偏見への対策や知的多様性の拡充になお課題を抱えているとしながらも、トランプ氏に立ち向かう姿勢を評価。「大学側にも重大な過ちがあり、その状況を変えるために段階的に圧力を強めていく必要があることは認める」とした上で、「しかし、米国の大統領が自分の対立相手について、非課税の立場の変更を求めるのは異例だ。これは権威主義的で、民主主義そのものが問われている」と強調した。

サマーズ氏はハーバード大学教授で、ブルームバーグテレビジョンのコントリビューターでもある。

同氏は「ハーバード大は政治に首を突っ込むべきではない」と主張。その上で「ハーバードのような機関でさえ自らに向けられた暴政にあらがえないのなら、いったい誰があらがえるのか」と訴えた。

ハーバード大学のキャンパス

原題:Summers Slams Trump ‘Tyranny’ in Escalating Attacks on Harvard(抜粋)

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