米国では、連邦学生ローン利用者の約3分の1で返済が延滞しており、信用スコアに深刻な影響が出ている。

ローンの返済が90日以上遅れると延滞と見なされるが、消費者信用調査会社トランスユニオンの最新データによると、6月時点で借り手の約29%、およそ540万人が延滞状態にある。この比率は、4月には31%と過去最高を記録していた。

米国人が抱える学生ローン債務は合計で1兆7000億ドル(約254兆円)に上る。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の返済猶予措置は既に終了しており、現在は毎月の返済が義務付けられている。だが実際には、なお多くの借り手が返済していない状況だ。支払い能力のない人もいれば、抗議の意味で支払いを拒否している人もいる。

トランスユニオンのバイスプレジデント兼米調査・コンサルティング責任者、ミシェル・ラネリ氏は、延滞率が4月をピークにその後やや下がってきたことについて、ローンサービサー(回収業者)からの通知や信用スコアの低下がきっかけとなり、返済の必要性を認識する借り手が増えたためだろうと述べた。パンデミック前は、学生ローンの借り手の延滞率はわずか12%程度だった。

 

同氏によれば、返済が延滞状態になると信用スコアは平均で60ポイント下がる。781ポイントを超える極めて優良なスコアを持つ人では、170ポイント超の低下も見られるという。

270日以上返済を行わなかった場合、借り手はデフォルト(債務不履行)扱いとなり、賃金差し押さえや税還付金の没収など、連邦政府による強制徴収の対象となる。現在デフォルト状態にある借り手は全体の0.6%にとどまるが、今後数カ月で急増する可能性が高い。ラネリ氏は、来年初めには一部の借り手が税還付金を差し押さえられるとの見通しを示した。

「税還付金を全額差し押さえられ、学生ローン返済に充てられるといったケースが出てくる可能性はある」と同氏は語った。

トランスユニオンの調査によると、借り手の大半は学生ローンよりも、住宅ローンや自動車ローンの返済を優先すると回答している。

原題:Millions of Student Loan Borrowers Still Aren’t Making Payments (1)(抜粋)

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