米国で暗号資産(仮想通貨)の規制枠組み設定を目指す法案が可決・成立すれば、向こう3年以内にステーブルコイン市場の規模が約10倍の2兆ドル(約286兆円)に急拡大する可能性がある。英銀スタンダードチャータードがこうした見通しを示した。

そうなれば、ステーブルコインの発行体は準備金としてさらに米短期国債1兆6000億ドル余りの保有が必要になる公算が大きいという。同行のデジタル資産調査グローバル責任者ジェフ・ケンドリック氏らが15日のリポートで試算した。仮想通貨市場全体の時価総額は現在、約2兆6800億ドルと推定されている。

リポートは、ステーブルコインを「一般的に米ドルのような法定通貨とのペッグ(連動)を通じ価格変動を小さくし、取引を促進するように設計されたデジタル資産」だと説明。

その上で、「ステーブルコインに関する法律が米国で成立すれば、ステーブルコイン業界の正統性が一段と高まる。これは(準備金としての)米国債購入と米ドル覇権の両方に影響を及ぼす」と指摘した。

トランプ大統領が世界的な貿易関税措置を打ち出したことでここ数週間、米国債市場が混乱した後だけに、米財務省短期証券(Tビル)などのドル建て資産に対する需要が高まることは政権にとって歓迎すべき展開だ。

リポートは「米国債供給総量におけるTビルの割合が不変だと仮定すると、トランプ政権2期目の残りの期間に予定されるTビルの新規発行分を全て吸収するのに十分な量だろう」と予想。米国債需要が増加すれば、関税懸念を背景としたドル覇権への脅威を「中期的に打ち消す」効果が見込まれるとしている。

スタンダードチャータードは、暗号資産を重視する大手銀行の一角。ビットコインに極めて強気な姿勢を示しており、2028年末までに価格が50万ドルに達する可能性があると想定している。15日時点のビットコイン価格は約8万4000ドル。

米国のステーブルコイン法案は今年に入り超党派で提出された。スタンダードチャータードによれば、トランプ大統領が支持しているこの法案は3月に上院委員会の採決を通過し、法案成立に近づいている。

原題:Stablecoin Sector May Reach $2 Trillion: Standard Chartered (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.