人工知能(AI)スタートアップの米アンソロピックは、最新のAIモデルを一握りの米テック大手に限り提供する。ソフトウエア企業が自社の防御体制に照らして検証する機会を持たないまま公開すると、サイバー攻撃に悪用される恐れがあるためだという。

同社はこのほど、アマゾン・ドット・コム、アップル、マイクロソフト、シスコシステムズなどと共同で「プロジェクト・グラスウィング」と呼ばれる取り組みを立ち上げると発表した。これらの企業は、新たなAIモデル「Mythos(ミトス)」へのアクセスを得て、自社製品に対するテストや脆弱(ぜいじゃく)性の洗い出しを行う。得られた知見は参加企業間で共有される見通しだ。

アンソロピックは現時点でミトスを一般公開する計画はないとしている。プロジェクト・グラスウィングで得られる知見を踏まえ、ミトスに必要な安全対策を検討する方針だ。

こうした取り組みは、高度なAIモデルが犯罪者や国家の支援を受けたハッカー集団に悪用され、ソースコードの脆弱性の特定やサイバー防御の回避に利用されかねないとの懸念が高まっていることを反映している。実際にハッカーがアンソロピックのAIツールを悪用し、メキシコ政府機関から機密性の高い情報などを大量に盗み出していた事件も発生している。

アンソロピックが行ったミトスのテストでは、ユーザーから指示を受けた場合、「主要な基本ソフト(OS)とウェブブラウザーについて脆弱性を特定し、それを悪用する能力を有している」ことが確認された。

同社によると、ミトスは汎用的なAIモデルであり、サイバーセキュリティー用途に特化して開発されたものではない。それにもかかわらず、すでに複数のセキュリティー上の問題を発見しているという。

重要なインターネットソフトウエアで27年間放置されていたバグを発見したほか、一般的な動画ソフトのコードに16年前から存在する脆弱性も特定した。同コードの欠陥は500万回にわたる不具合テストでも検出されていなかったという。

原題:Anthropic Limits Mythos Model Release in Bid to Stave Off Hacks(抜粋)

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