スイスの製薬大手ノバルティスは、向こう5年間で230億ドル(約3兆3000億円)を米国に投資すると発表した。トランプ米大統領が輸入医薬品に対し関税を課す方針を示す中、ノバルティスは米国で販売する主要医薬品の現地生産体制を整えようとしている。

ノバルティスは10日の発表文で、今回の投資をカリフォルニア州の研究拠点と全米6カ所の製造拠点を含む七つの新施設に振り向けると説明。また、米国内に既存の3施設を拡張し、その一環として1000人の雇用を創出する方針。

向こう5年間の米国事業への総投資額は500億ドル近くに上る見込みであり、米国に重点を置く姿勢を「明示する」ものだとした。ただ、米国で以前に計画していた投資額については開示しなかった。

バス・ナラシムハン最高経営責任者(CEO)は発表文で、「今回の投資により、当社のサプライチェーンと主要技術基盤を米国に十分に移行することが可能になる」と述べた。

今年に入り多国籍製薬会社による米国投資の発表が相次いでいる。イーライリリーは2月、向こう5年以内に米国の4工場に270億ドル以上投資すると表明。3月にはメルクが2028年までに国内に80億ドルを投じると約束。ジョンソン・エンド・ジョンソンは今後4年間で550億ドル余り投資する方針。

一方、トランプ大統領は、医薬品業界が米国市場への供給を国外の製造拠点に依存していることを理由に、輸入品への関税を発動する意向を繰り返し表明している。今月初旬に大統領が発表した広範囲にわたる関税の対象から医薬品は除外されていた。

原題:Novartis Pledges $23 Billion US Investment as Tariffs Loom (2)(抜粋)

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