(ブルームバーグ):米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターの投資判断が10日、引き下げられた。投資判断を変更した銀行は、トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争の影響でコストが上昇し需要が後退する恐れがあると警告した。
UBSグループはGMの投資判断を「バイ(買い)」から「ニュートラル(中立)」に引き下げた。米関税政策が価格上昇と生産の混乱を招く可能性があると指摘した。
ゴールドマン・サックス・グループはフォードの投資判断を「バイ」から「ニュートラル」に変更し、米自動車販売と世界の自動車生産の見通しも引き下げた。
UBSのアナリスト、ジョセフ・スパック氏は顧客向けリポートで、「米自動車業界が、生産台数の持続的な減少と製造コスト上昇という新たな時代に入る可能性が高まり始めている」と分析。「多くの銘柄が値崩れしているようだが、将来の収益を見通せないため、確信をもって絶好の買いと推奨できない」とコメントした。

GMの株価は今年に入って10日までに18%下落。フォード株も7.7%下げている。自動車輸入への25%の米追加関税が先週発効すると、業界は直ちに対応に動いた。GMは米国内でのピックアップトラック生産を拡大する計画を発表。フォードは客足が遠のかないよう大幅な値引き販売を開始した。
スパック氏によれば、自動車関税の直接的な影響に加えて、貿易・経済政策も消費者に間接的悪影響を及ぼし、自動車需要を圧迫する可能性がある。
ゴールドマンのアナリスト、マーク・ディレーニー氏も、今後「より困難なマクロ経済環境」が待ち受けていると説明。2人ともトランプ氏が上乗せ関税を90日間停止したにもかかわらず、投資判断を引き下げた。
両氏はまた、見通しには不確定要因が多いとした上で、自動車関税は当面なくならないと予測。スパック氏は自動車関税について、「特定の産業を対象としたものであり、各国が個別に進める貿易交渉の対象にならない。自動車関税は今後しばらくの間、維持される公算が大きい」との見方を示した。
原題:GM, Ford Shares Downgraded as Banks Warn of Tariff Impact (1)(抜粋)
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