11日の日本市場は株式が大幅反落し、日経平均株価は3%(1023円)安で終えた。米トランプ政権による関税政策を発端とした貿易戦争激化への懸念から、リスク回避の動きが再燃した。為替は約半年ぶりの1ドル=142円台まで一時1%余り円高・ドル安が進行。債券は安全資産への需要で中長期債が上昇した。

米政府は10日、中国に対する関税率が合計で少なくとも145%になることを明らかにした。米国との交渉を進めるため90日間の猶予を与えられた中国以外の貿易相手国も、合意に至らなければ7月9日に大幅な上乗せ関税が適用される見通しだ。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストはコラムで、中国への145%の追加関税だけで米国の関税率は20.2%高まる計算だと指摘。日本など中国以外の国に対する関税率が基本税率10%のみにとどまる楽観シナリオでも、世界の国内総生産(GDP)は0.79%、日本のGDPは1.01%と大きく押し下げられると試算した。

株式

東京株式相場は大幅反落。米政権が中国に対する関税率は145%と明らかにし、米中の貿易戦争の激化が再び意識された。一方、中小型の内需株などが底堅く推移し、午後は下げ幅を縮小した。東証グロース市場250指数は2.9%上昇し逆行高となった。

アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、グローバルで経済環境に不透明感がある中、「先行きのボラティリティーが小さい内需型の企業に資金が向かっている」と述べた。機械などの中国関連株は厳しい動きで、企業は中国の生産サプライチェーンの位置付けを縮小せざるを得ないと話した。

外国為替

円相場は上昇。米中貿易摩擦の激化が警戒される中、ユーロなど主要通貨に対してドルが全般的に売られ、円は一時142円台後半まで買われた。その後は144円台前半まで伸び悩んだ。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、ユーロが大幅高となり、それにつられてドル・円は142円台に入ったとした上で、「日経平均が3万3000円台まで戻しており、ドルの下値を攻める動きは出づらい」と話していた。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、ドル売りの受け皿はユーロやスイス・フランなど欧州通貨が中心だとし、「円買い圧力はそこまで強くない」と言う。ユーロは対ドルで一時、ニューヨーク終値比1.6%高の1ユーロ=1.1383ドルまで上昇し、2022年2月以来の高値を付けた。

債券

債券相場は中長期債が上昇。前日に大きく下落した反動による買いに加え、株価の大幅安を受けたリスク回避や、為替の円高進行が支援材料になった。超長期債は投資家が保有残高の平均残存期間を減らす動きに加え、財政拡大への懸念から売られた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、中期ゾーンは日本銀行の利上げ期待後退で上昇(金利は低下)した一方、超長期ゾーンは流動性低下によるリスク削減と財政拡大観測により下落(金利は上昇)したと指摘する。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、超長期ゾーンは流動性低下で機能不全に陥っており、各国中央銀行が連携して何らかの対策に乗り出す、いわゆる「中銀プット」への期待感も出ていると話した。

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--取材協力:横山桃花、山中英典、佐野日出之、我妻綾、船曳三郎.

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