(ブルームバーグ):トランプ米大統領が先に発表したいわゆる「相互関税」が、米東部時間9日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に予定通り全面的に発動した。これに対し、中国も報復措置を発表した。貿易戦争の激化が、世界経済に大打撃を及ぼそうとしている。
米国への全輸出国・地域に基本税率10%の関税を課す措置が5日に発動後、今回は対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象とした上乗せ税率が適用されるもので、日本への関税率は24%、中国に対しては計104%となった。米国の関税率としては、100年強ぶりの高水準だ。
中国以外のアジア諸国も大幅な上乗せ税率の適用対象となり、カンボジアは49%、ベトナムは46%となっている。欧州連合(EU)からの輸入品には20%の関税が課される。

相互関税の全面発動を受けて、米国債相場は下げ幅を拡大。30年債利回りは一時25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、5.018%を付けた。アジア市場の株価は中国株など一部を除き9日までの5営業日で4度目の下落となり、S&P500種株価指数やナスダック100指数などの米株価指数先物も下げた。
報復
中国政府は9日、米国から輸入する製品に対する関税を84%に引き上げると発表した。対抗措置は4月10日より発効する。
報復関税の発表に先立ち、中国政府は米国との通商に関する「白書」を発表し、中国には「最後まで闘う」意思と手段があり、米国は「自らがまいた種の報いを受ける」ことになるとしていた。緊張激化で習近平国家主席との電話会談の可能性は遠のき、世界の二大経済大国間の貿易戦争長期化のリスクが高まっている。
中国に対する関税率104%は、合成麻薬フェンタニルの米国への流入に関連して先に課した20%と、9日から賦課する34%の相互関税に加え、米国産品に対する中国の報復関税(34%)に対抗する50%の追加関税から成る。
中国の報復措置発表を受け、米株価指数先物は2%余り下落。欧州株は4%余り下落した。
米国のベッセント財務長官は9日、FOXビジネスとのインタビューで、中国の報復措置について「残念なこと」とし、中国に人民元の切り下げを行わないよう促した。ベッセント氏は「中国は実のところ交渉しようともしていない。彼らこそが、国際貿易システムに対する最大の攻撃者だからだ」と述べた。
カナダは9日の米相互関税発動と同時刻に、3日に発動した米国の25%の自動車追加関税に対抗し、米国製自動車に同率の輸入関税を課す報復措置に踏み切った。欧州ではフランスとドイツが米国への強硬な対応を主張している。
トランプ氏は、日本や韓国などの主要同盟国が関税措置の軽減を要請して米国との交渉に入ることには歓迎の意向を示している。「オーダーメード」方式のディール取りまとめの協議に向けて「非常に順調に」進展していると語った。

批判の声
トランプ氏はさらなる関税措置も予定している。8日にワシントンで開催された共和党下院議員の資金調達パーティーでは、かねて計画していた医薬品への輸入関税を「近く」発表すると表明。同氏はこのほか、木材や半導体への関税賦課の方針も示している。
トランプ氏が2日に相互関税を発表して以降、ホワイトハウスはウォール街や複数のエコノミスト、共和党議員の一部などからの批判への対応を迫られている。関税が米経済の繁栄をもたらし、国内の製造業を復活させるとの同氏の主張に対し、消費者物価の上昇や景気鈍化につながると懸念の声が上がっている。
今後の路線を巡るトランプ政権のメッセージも明確さを欠く。米国が関税を賦課することで、軽減を望む貿易相手国・地域が交渉で対米貿易障壁の削減に応じ、トランプ氏もそれを受けて米関税率の引き下げを認めることになるだろうと、一部の当局者は指摘する。
他方で、ナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)は、トランプ氏が単に交渉の道具として関税を利用しているとの見方を繰り返し否定している。
原題:Trump Tariffs Take Effect, Hiking Trade Levies to 100-Year High、China Reiterates Will Fight to End, Willing to Talk With US (1)、China Holds Fire on Immediate Retaliation Against New US Tariffs、China Raises Tariffs on US Goods to 84% as Trade Rift Worsens(抜粋)
(中国の反応の詳細を追加して更新します)
--取材協力:Laura Davison、Malcolm Scott、Jennifer A Dlouhy.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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