(ブルームバーグ):米株価指数先物が米東部時間2日遅くに3%余り急落した。トランプ米大統領が世界の貿易相手国・地域を対象に相互関税を発表したことを受け、本格的な貿易戦争になれば米経済がリセッション(景気後退)に陥りかねないとの懸念が強まった。
市場に不透明感が広がる中で投資家はリスク資産を敬遠し、米国債や金、円など安全資産に資金が向かった。
米10年国債利回りは3日のアジア時間の取引で9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、4.05%を付けた。 5年国債利回りも10bp下げた。10年国債利回りの下げ幅は年初来で50bpを上回った。
S&P500種株価指数先物は米東部時間午後6時36分(日本時間3日午前7時36分)時点で3.3%安の5522。ナスダック100指数先物は4.2%下落した。ラッセル2000指数先物は5%近く値下がりした。株価指数先物はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のルールにより、オーバーナイト取引時間の変動率が上下7%を超えないよう制限されている。

トランプ大統領は米国への全輸出国に最低10%の関税を賦課し、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に一段と高い関税率を適用すると発言。関税率は対中国が34%、欧州連合(EU)は20%、日本は24%、ベトナムは46%となる。エバコアISIは加重平均関税率を29%と試算している。
新たな関税措置の影響を最も大きく受ける分野に関連する企業の株価が時間外取引で軒並み安。ナイキやギャップ、ルルレモン・アスレティカはいずれも7%以上の値下がり。3社はベトナムの商品や工場に依存している。サプライチェーンの中国依存度が高いアップルは一時6.9%下落した。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、キャタピラーやボーイングも安い。
エコノミストらは数週間前から、大幅な関税がインフレを誘発し、潜在的メリットが実現する前に米雇用に打撃を与える恐れがあると警告していた。ウォール街の金融機関はリセッション(景気後退)確率について予想を上方修正しており、米株式相場の年末水準の見通しを引き下げている。
BCAリサーチのチーフストラテジスト、マルコ・パピック氏は「これが政策として維持されるなら、世界が恒久的に脱グローバル化されるという新たな現実が定着するだろう」と指摘。「調整期間に何らかの形のリセッションが伴うのはほぼ確実だ。今後、もっと下振れすることは明らかであり、さらに10%下落する可能性は十分にある」と予想した。
原題:US Stock Futures Tumble as Trump Upends Global Trading Order(抜粋)
(米国債利回りの動きを追加して更新します)
--取材協力:Natalia Kniazhevich.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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