ウォール街のトレーディングデスクでは多くの点で意見が分かれているが、一致していることが一つある。トランプ米大統領が間もなく発表する関税措置により、S&P500種株価指数への売り圧力が少なくとも短期的には強まる可能性が高いという見方だ。

ゴールドマン・サックス・グループやバンク・オブ・アメリカ(BofA)など多くの銀行は、2日に発表される関税により株式市場のボラティリティーが高まり、2022年以来最悪の四半期を終えたばかりのS&P500種の下落がさらに加速すると予想している。

機関投資家や個人投資家による資金の流れを分析し、市場の次の動きを予測するトレーディングフロアでは、トランプ大統領の貿易戦争が企業収益を圧迫し、企業のサプライチェーンを不安定化させることへの懸念が高まっている。

トランプ大統領の当選後数週間は、投資家やセルサイドのアナリストが減税や規制緩和の計画を歓迎し、関税の脅威を交渉戦術としてほぼ無視していたため、株価は急騰した。しかし、今では状況が一変している。

Goldman Sachs Marquee

ゴールドマンのトレーディングデスクは「弱気な見方がフロアや顧客の間で広がっている」と3月28日付のリポートに記し、今週に予想されるボラティリティーが昨年11月の米国大統領選当時と同等の水準であることを指摘した。

ウォール街の主要トレーディングデスクでは、懸念の声が相次いでいる。JPモルガン・チェースは、政策の不透明と関税が経済に与える潜在的な影響を理由に株式に対して戦略的に弱気の姿勢を維持している。

バークレイズのグローバル株式戦術戦略部門責任者アレクサンダー・アルトマン氏は、トランプ大統領の発表には解釈の余地があり、貿易政策は流動的だと言う。

「不確実性は市場におけるあらゆるものの敵だ。投資判断や企業の支出、さらには企業や消費者の信頼感を損なう」と同氏はブルームバーグ・ニュースに語った。

トランプ氏は2日に、米国の貿易相手国全てに対する広範囲な関税についてを発表する予定。市場の不安が高まる中、S&P500種2月19日の最高値から8.3%下落している。

現在は5600前後で推移しているが、さらに下落する余地があると複数のトレーディングデスクが警告する。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)のジョン・タリー氏は5500を下回る可能性があるとみている。UBSグループは最近のリポートで、米国が20%の関税を課した場合、S&P500種は5400まで下落する可能性があるとの見方を示した。

原題:Wall Street Trading Desks Warn S&P 500 Selloff Will Get Worse(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.