(ブルームバーグ):最近リリースされた中国の人工知能(AI)エージェント、Manus(マヌス)がサブスクリプション(定額課金)サービスを始める。DeepSeek(ディープシーク)との比較で注目された後、急速に商業化の道を進んでいる。
マヌスを運営するスタートアップ企業は月額39ドル(約5800円)の基本プランと199ドル(約3万円)のアップグレード版を設定。後者は米オープンAIの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT) Pro」と同等の料金となる。まだベータテスト段階の会員制サービスとしては強気の価格設定だ。同社は、プロンプトに応答するだけでなく、ユーザーの代わりにボットに複雑なタスクをさせ、仕事をこなすという約束で大きな注目を集めている。
同社のウェブサイトによると、アップグレード版のユーザーは同時に最大5つのタスクを実行でき、より多くの処理クレジットを付与される。アクセス制限のある無料版も引き続き提供する。このツールは、アンソロピックのAIモデル「クロード」シリーズを含む既存の大規模言語モデル(LLM)の上に構築されている。
中国のAIサービスでは、ディープシークがオープンAIやメタ・プラットフォームズの数十億ドル規模のモデルやシステムと同等のパフォーマンスを示し、シリコンバレーに衝撃を与えた。3月にリリースされたマヌスについては、次のディープシークと評価する声もある。
登場して間もなく収益化を図る動きは、ユーザー獲得で熾烈(しれつ)な競争が繰り広げられる中国では異例だ。
ディープシーク「R1」の1月のデビューは、人口14億人の中国ですでに進行していた価格競争を加速させ、アリババグループやテンセント・ホールディングス(騰訊)などのプラットフォーム業者は、歩調を合わせるように新しいAIの提供を次々と発表した。百度(バイドゥ)は2月、「Ernie(アーニー)」ボットを無料で提供すると発表した。
マヌスの親会社である蝴蝶効応(Butterfly Effect)は、少なくとも5億ドルの評価額で資金調達するため、潜在的な投資家と交渉中だ。テクノロジー関連のニュースサイト、ジ・インフォメーションが先週、匿名の関係者を引用して報じた。蝴蝶効応の現在の出資者には、ベンチャーキャピタルの真格基金や紅杉中国(旧セコイア・チャイナ・キャピタル)が含まれる。
原題:China’s Manus Turns Its AI Agent Into a $39 Subscription(抜粋)
--取材協力:Jessica Sui.記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:Beijing John Liu jliu42@bloomberg.net;Beijing Zheping Huang zhuang245@bloomberg.net記事についてのエディターへの問い合わせ先:Edwin Chan echan273@bloomberg.netVlad Savov、Mark Andersonもっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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