デンマークの職域年金基金アカデミカーペンションが29日、スペースXについて「著しく過大評価されている」として投資しない考えを示した。同年金基金は今年、トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランドの取得に意欲を示したことを受け、米国債を売却し話題となった。

スペースXはIPOで少なくとも1兆8000億ドル(287兆円)の評価額を目指している。アカデミカーペンションのアナス・シェルデ最高投資責任者(CIO)は、ブルームバーグへの電子メールで、スペースXへの投資を避ける主な理由として「企業統治に関して極めて不十分な実績」を指摘した。アカデミカー・ペンションは別の声明で、この見方は自分たちだけのものではなく、「米国の複数の大手年金基金も同様の懸念を示している」としている。

運用資産は250億ドルと比較的小規模だが、アカデミカーペンションはこれまでも投資判断で注目を集めてきた。昨年は、イーロン・マスク氏が「テスラのブランドと企業価値を破壊しつつある」との懸念を理由にテスラ株を売却した。今年1月には、米国政府は「良好な信用主体ではない」との判断から米国債を手放すと表明した。

シェルデ氏は、スペースXについては「投資収益の観点から見ても、IPOへの参加を正当化できない」と述べた。

ブルームバーグ・ニュースによると、スペースXは早ければ6月4日にもIPOの本格的な投資家向け説明を開始し、同11日にも価格を決定する見通しだ。ただし、この日程は変更される可能性がある。

シェルデ氏は、「当基金は今回のIPOには参加しない。また、株式ポートフォリオのインデックス運用部分を含め、同社株の流通市場での取引にも一切参加しない」と述べた。同基金の試算では、スペースXの企業価値は「合理的に考えて」1兆ドルを超えるべきではないという。

アカデミカー・ペンションは、「投資家は、極めて不確実性の高い企業に対し、前例のないほど低いリスクプレミアムを受け入れるよう求められている。価格形成は経済的実態よりもマスク氏の語るストーリーによって左右されているように見える」と指摘した。

また、仮に評価額が妥当だったとしても、アカデミカーペンションはスペースXを投資対象から除外するとしている。シェルデ氏は「壊滅的な企業統治体制」を理由として挙げた。

シェルデ氏によると、マスク氏はスペースXの議決権80%超を握る見込みである一方、最高経営責任者(CEO)、最高技術責任者(CTO)、取締役会長を兼任するとされている。

今回のスペースXのIPOでは、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、JPモルガン・チェースの5社が主幹事を務める。

原題:Danish Pension Fund to Blacklist ‘Grossly Overvalued’ SpaceX (2)(抜粋)

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