日産自動車の株価は1日、アライアンス(企業連合)を結ぶ仏ルノーとの相互出資の最低限比率の引き下げなど提携関係のさらなる見直しが発表されたことを受け、5営業日ぶりに反発して取引を開始した。

日産株は一時前日比2.2%高の387円と2週間ぶりの日中上昇率を付けた。東証株価指数(TOPIX)は同1.5%高となっている。

日産は前日夜、ルノーとアライアンス契約の改定で合意し、それぞれの株式保有率を現行の15%から10%に引き下げる権利を有することになると発表した。現在のルノーの時価総額を基にすると日産は5%の株式売却で約6億9000万ユーロ(足元のレートで約1100億円)の資金が得られる計算だ。

また、日産が最大6億ユーロを出資するとしていたルノーの電気自動車(EV)会社「アンペア」への投資は行わないこととし、投資契約を解約する。アライアンス契約の改定とアンペアへの投資契約の解約は「一定の前提条件の充足を条件」としており、2025年5月末までに完了する見込みだという。日産が株式の51%を保有するルノーとのインド合弁会社の株式をルノーが取得することも発表した。

今回の合意により米国や中国での販売不振などで業績が悪化する日産は資金的な自由度が増すことになる一方、ルノーとの資本的な関係はさらに薄れることになる。日産とルノーは23年2月、ルノーによる日産への出資比率を43%から15%に引き下げることなどで合意し、資本関係の対等化を実現。その後両社の協業の柱の一つだった共同購買を解消している。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは、キャッシュフローの確保が大きな課題となっている日産にとって資金の確保と流失回避をもたらす「今回の発表内容は朗報」と評価する。ルノー株の売却は同社との関係の薄まりにつながるが、すでに事業化されているプロジェクトを中止するということにはならず、実務への影響は少ないとみているという。

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