(ブルームバーグ):日本銀行は1日、新任の理事に中村康治調査統計局長を充てる人事を発表した。加藤勝信財務相が任命した。任期満了で退任した加藤毅氏の後任で、任期は4年。企画局と金融市場局、金融研究所を担当する。
中村氏は福井県出身で、1992年に東京大学経済学部を卒業し、日銀に入行。調査統計局の経済調査課長や米州統括役などを務め、2022年5月から企画局長、23年7月から金融機構局長を歴任。24年5月から調査統計局長として経済・物価の分析や見通し作成に尽力した。
金融政策の企画・立案を担う企画局長は、正木一博氏の理事・大阪支店長への就任に伴い、3月に政策企画課長の経験がある奥野聡雄氏が就いたばかり。担当理事も経済分析に定評がある中村氏に代わり、トランプ米政権による関税政策で先行き不透明感が増す中、新たな企画ラインで政策正常化に向けた難しいかじ取りを担う。
中村氏は黒田東彦前総裁による大規模緩和の推進時に、企画局長として22年12月にイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策に伴う長期金利の許容変動幅を0.25%程度から0.5%程度に拡大。23年7月には長期金利の上限を1%に引き上げるYCCの柔軟化を手掛けた。
日銀は植田和男総裁の下で、24年3月にマイナス金利とYCCを撤廃して大規模緩和から転換。その後の2度の利上げで政策金利を17年ぶりの0.5%程度とした。今後も経済・物価が見通しに沿って推移すれば、利上げで緩和度合いを調整していく方針だ。0.5%を超えれば、新日銀法施行前の1995年以来、30年ぶりの高水準になる。
1日付で監事に播本慶子政策委員会室長が就任し、後任に福田英司システム情報局長が、中村氏の後任の調査統計局長に川本卓司国際局兼企画局審議役が就く人事も発表した。川本氏は経済調査課長や政策企画課長などを務めた。
(監事や局長の人事を追加しました)
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