ヘッジファンドが景気敏感株を買い進めている。これら銘柄は米国の景気後退への懸念からこの1カ月で急落した。

ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジのデータによると、先週は銀行やエネルギー生産会社など景気循環と密接な関係のある銘柄が昨年12月以来のペースで買われた。

これら企業の株価は最も大きな打撃を受けており、循環株の指数は直近の高値から10%近く下落した。トランプ大統領の関税の脅威で米国の成長が失速するのではないかという懸念が背景にある。

調査会社ピボタルパスのジョナサン・カプリス最高経営責任者(CEO)は「循環株の今年の低迷は一部では『押し目を買い、より良い価格で再参入するチャンス』と捉えられた」と述べた。「また、ファンドマネジャーは、米国の金融や伝統的な米国のエネルギーといったセクターは関税の影響をそれほど受けないとみている」と付け加えた。

循環株の一部は反発している。KBW銀行株指数は14-25日の8営業日連続で上昇し、2016年以来の最長を記録した。

 

公益事業やヘルスケア、生活必需品など景気動向に左右されにくいディフェンシブセクターとの比較で循環株のパフォーマンスを測るシティグループの指標は、先月のピークからの下落分の半分ほどを取り戻している。

循環株がさらに上昇すれば、関税による経済的打撃が恐らくは懸念されているほど深刻ではないという楽観的な見方が市場の一角で広がっているシグナルかもしれない。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)のジル・キャリー・ホール氏は、顧客が先週、全体としてディフェンシブセクターよりも循環セクターをより多く買い増したとし、投資家が景気後退を想定していないことを示唆していると指摘した。

とはいえ、市場参加者の多くは関税が米国の景気悪化を加速させる可能性があると考えている。シティの米株トレーディング戦略責任者スチュアート・カイザー氏は「米国の経済成長に対する懸念が続いていることを踏まえれば、循環株の上昇はより戦術的なものだと思われる」と述べた。

原題:Hedge Funds Scoop Up Cyclical Stocks as Tariff Fears Swirl(抜粋)

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