(ブルームバーグ):JPモルガン・アセット・マネジメントは、貿易戦争の激化が社債市場にストレスを与えているため、投資家にはより多くの見返りがあってしかるべきだとの見解を示した。
同社のグローバル投資適格社債責任者、リサ・コールマン氏は「現在の市場における不確実性のリスクに対して、われわれはもう少し多くの利回りを受け取る必要がある」と指摘。「関税は非常に不透明なため、リセッション(景気後退)の可能性がゼロということはあり得ない」と述べた。
JPモルガンは、米国の政策見通しに対する不確実性の高まりと消費者信頼感の低下を背景に、貿易戦争が始まる前から米企業の収益が圧迫されると予想。またEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)の伸びは今年3%と、2024年の5%から鈍化すると見込んでいる。
コールマン氏はブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のポッドキャスト「クレジットエッジ」で、これらを前提とすると「関税に関する悪材料が出始めた場合のバッファーは小さい」と語った。
高格付け社債のスプレッドは、米国の関税措置やリセッション懸念から3月半ばには半年ぶりの高水準を記録したが、現在はわずか2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の拡大にとどまっている。新規発行の低調見通しを受けた需要の高まりにより、信用リスクプレミアムは数カ月にわたり長期平均を下回っているものの、景気後退局面ではスプレッドが拡大する傾向にある。

「テクニカル指標は年初から悪化している」とコールマン氏は指摘している。JPモルガンのグローバル投資適格社債運用チームの運用資産は昨年12月時点で730億ドル(約11兆円)。
JPモルガンはまた、米クレジット市場への海外、特に日本からの資金流入が鈍化すると予想。日本では国内の利回りが上昇しているため日本の投資家にとって日本国債がより魅力的になっているという。
コールマン氏は「日本国債との競争はかなり激しく、ここ数年見られなかった状況だ」とコメントした。
同氏によると、市場が織り込むリセッション確率が現在の低水準から20%に上昇した場合、米国の高格付け社債スプレッドは3月26日の90bpから120bpに拡大する可能性があるが、クレジット資産に対する堅調な需要と、政策の大変動を乗り切る企業の能力に支えられ、80-110bpのレンジで推移するという。
さらに、米連邦準備制度が2020年4月に社債購入プログラムを拡充して以来、クレジット市場はリスクプレミアムの乱高下や格下げにそれほど影響されなくなっているとした。
原題:JPMorgan Says Debt Investors Must Get Paid More for Tariff Risk(抜粋)
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