(ブルームバーグ):福岡資麿厚生労働相は25日の閣議後の記者会見で、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の新理事長に三菱UFJ銀行元常務の内田和人氏を起用すると発表した。就任は4月1日付。
GPIFは世界最大規模の年金基金。昨年12月末の運用資産残高は約259兆円を抱える。その規模の大きさから「市場のクジラ」とも呼ばれ、投資動向や個々の施策に対する市場の関心は高い。
国内では長期金利が約16年ぶりの高水準を付け、海外では米トランプ大統領の関税政策による先行き経済の不確実性が高まるなど環境が大きく変化する中、巨額の年金資産の運用指揮を託されることになる。
会見で福岡厚労相は内田氏について「大手金融機関や大手証券会社において資産運用、マーケットに関する業務に長く携わっておられ、専門的知識や経験を十分に有しておられる」と指摘。「役員や会長を歴任されるとともに、公的な法人においても役員としてのマネジメントの経験を有されており、組織運営に関する豊富な知識や経験を保有していることなどを総合的に勘案した」と起用の理由を説明した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは内田氏について「日本の債券市場のマーケットエコノミスト、ストラテジストとして草分け的な存在」と紹介した上で「これまでの広い知見と経験に基づき金融市場や国民に対し、分かりやすいメッセージの発信が期待できる」と述べた。
現理事長の宮園雅敬氏は任期満了で退任となる。GPIFの理事長は宮園氏まで2代続けて農林中央金庫の出身者が就いていた。
●内田和人(うちだ・かずと)氏:1985年慶大商学部卒、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。三菱東京UFJ銀行企画部経済調査室長、執行役員融資企画部長などを経て2017年取締役常務執行役員市場部門長。19年にモルガン・スタンレーMUFG証券取締役会長。現在はエムエスティ保険サービス取締役会長や日本大学理事、百五銀行監査役を務める。
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--取材協力:谷口崇子、日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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