24日の日本市場で債券が下落。米国のトランプ大統領が今後の関税発動は的を絞ったものになると発言したことで懸念が和らぎ、米長期金利が時間外取引で上昇したことが重しとなった。日本銀行の追加利上げに対する警戒感も根強かった。

トランプ大統領は広範な相互関税を4月2日に発表する予定だが、一部の国・地域は除外する見込み。自動車関税は検討中で、別の機会に公表する可能性を排除していない。為替は米関税政策の柔軟化を期待したドル買い・円売りの動きで円が下落。日本株も下げた。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、トランプ氏の発言を好感してリスクオフの巻き戻し的な動きが生じたと指摘。日本国債は「日銀の利上げを警戒した弱気相場も続き、金融機関は年度末を控えて買い余力がなく、金利ポジションを落とす動きもあるだろう」との見方を示した。

日銀の植田和男総裁は24日の国会答弁で、基調的な物価上昇率が2%に向け高まっていく見通しが実現していけば、「それに応じて金融緩和度合いの調整を続けていく」と改めて説明。政策の目的はあくまで物価安定であるとし、「財務への配慮のために必要な政策の遂行が妨げられることはない」と語った。

債券

債券相場は中長期債中心に下落。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、日銀の追加利上げを警戒しながら取引する状況は変わっていないとした上で、「期末前で投資家の動きは鈍く、買い進みにくい」と指摘。28日公表の3月の金融政策決定会合の「主な意見」の内容を確認したいと述べた。

日銀は定例の国債買い入れオペを実施した。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、25年超。オペの結果は応札倍率が3-5年を除く各年限で前回から上昇し、売り圧力の強さを示した。

新発国債利回り(午後3時時点)

外国為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=149円台後半に下落。米長期金利が時間外取引で上昇したことに加え、4月2日に予定される米関税政策が柔軟な方向に修正されることへの期待感からドル買いが優勢だった。

オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、ドル買いの背景に米関税政策が「ひょっとしたら柔軟な内容に修正されるとの期待もあるのかもしれない」と分析。年度末の最終週で、国内の機関投資家がポジション調整のドル買いを出している可能性もあると話した。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、米関税政策が円相場に及ぼす影響について「発動が一律、一斉になれば株安を通じたリスク回避でドルが売られる一方、一部の国を除外するなど柔軟性を持たせればリスク志向が回復し、株高、ドル買いが進む」と予想している。

株式

東京株式相場は下落。米関税政策の行方や世界景気の先行き不安が根強い中、銀行や鉄鋼、商社、機械株などが売られた。半面、米ヘッジファンドの株式取得が明らかになった住友不動産など不動産株は午後に急伸した。

売買代金上位では三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクや三菱重工業、キオクシアホールディングスが安く、牛丼のすき家店舗での異物混入が発覚したゼンショーホールディングスは急落。フジクラやソフトバンクグループは上げ、クラウドサービスの好調で第3四半期利益が予想を上回る伸びとアナリストが評価した日本オラクルは急伸。

インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、週明けで様子見ムードが強く、米関税政策への不透明感も続き、発動期日の「4月2日まで買いづらい」と指摘。日本の製造業購買担当者指数(PMI)の悪化も「ネガティブに効いている」と述べた。auじぶん銀行などが24日公表した3月の製造業PMIは48.3と2月の49から低下した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:日高正裕、アリス・フレンチ.

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