最も著名な金属トレーダーの1人が銅価格の最高値更新を見込んでいる。トランプ米大統領の関税賦課を巡る脅威により、世界的な在庫が枯渇し、銅取引での利益獲得に向けた前例のない好機になるという。

銅に対する強気派の1人、コスタス・ビンタス氏は大手資源商社トラフィグラ・グループの銅取引を世界最大規模に拡大させた立役者。2023年の退社後、現在はエネルギー商社のマーキュリア・エナジー・グループで金属取引を主導している。

ビンタス氏は銅価格について、現値水準から最大で約3割上昇し、過去最高値を更新する可能性があると予想。インタビューで、米国に大量の銅が流入することで、その他の国々、とりわけ最大の消費国である中国は供給不足に陥るリスクがあると述べた。

その上で「銅市場では何か特別なことが起きていると思う」とし、「銅価格が1万2000ドルや1万3000ドルに達するのはありえない話だろうか。これまでにこのようなことは一度もなかったため、価格を予測するのが本当に難しい」と語った。

ビンタス氏は新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)をきっかけに銅が数年間にわたる強気相場に突入し、電化に伴う需要の高まりが供給の伸びを上回るといち早く予測したトレーダーや投資家の1人だった。

銅強気派はこれまで何度も失望を味わってきた。最近では昨年、銅価格が1トン当たり1万1000ドルを超え史上最高値を記録したものの、中国の輸入業者が市場から撤退したことで失速した。

それでも足元では、トランプ氏による銅への関税賦課を巡る脅威により市場力学が変化している。米国はまだ銅輸入品に広範な関税を課していないものの、国内価格は他国を1トン当たり1400ドル余りも上回り、トレーダーにとっては銅を少しでも多く米国に輸送する大きなインセンティブになっている。

「1トン当たりの利ざやという点では、これほど良い取引機会は見たことがない」とビンタス氏は言う。

 

ビンタス氏は、銅の在庫が米国に流れることにより、中国の銅市場は在庫不足に陥ると指摘。「中国はこれまで高値を拒絶することに成功してきたが、他の市場が中国市場から何トンもの銅を奪うのは最近では初めてで、だからこそ未知の領域となる」と語った。

原題:Copper’s Uber-Bull Sees New Record on Most-Profitable-Ever Trade(抜粋)

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