(ブルームバーグ):米消費者のセンチメントは約2年ぶりの低水準に落ち込んだ。一方でインフレ期待は大幅に上昇。関税が経済に及ぼす影響がますます懸念されている状況が浮き彫りとなった。

トランプ米大統領の関税政策の範囲が拡大する中、消費者の間では支持政党に関係なく、追加関税が最終的にコスト上昇につながるとの懸念が強まっている。インフレは2月に鈍化したが、物価上昇圧力が持続的に高まれば、家計が裁量支出を抑制するリスクが生じる。
家計状況に対する消費者の見方は、過去最低に落ち込んだ。

ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は「多くの消費者は政策や経済などの要素を巡る不確実性の高さを挙げた。経済政策が頻繁に変動すれば消費者としては、政策を支持しているかどうかにかかわらず、将来の計画を立てるのが非常に困難になる」と述べた。
調査回答者の48%は、インタビュー中に自発的に関税について言及した。
統計発表後、S&P500種株価指数は一時上げを縮小したが、その後は再び上昇を拡大した。円は対ドルで一時下げを拡大し、148円90銭近辺を付ける場面があった。その後は下落幅を縮めた。

シュー氏は「重要なのは、関税が今後インフレに大きな上向きの圧力をかけると、そうした消費者が総じて予想している点だ」と述べた。
コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「信頼感の低下は個人消費への現実的な脅威になりつつある」と指摘。「景気の先行きに対する下振れリスクはここ1カ月に非常に大きく高まった。景気が低迷に向かっていると不安に感じる消費者は、新しい車や住宅の購入、外食、休暇で旅行に出掛けるといった行動を避けるだろう」と分析した。
現況指数は63.5に下げ、半年ぶり低水準。期待指数は22年7月以来の低水準に下げた。
共和党支持者のセンチメントは3ポイント近く低下。民主党支持者のセンチメントは10%近く下げた。無党派層でも5.4ポイント低下している。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Consumer Sentiment Drops, Price Expectations Soar on Tariffs(抜粋)
(エコノミストのコメントと市場の反応を追加し、更新します)
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