米国の財貿易赤字は1月、予想に反して拡大し、過去最大を記録した。トランプ米大統領が表明した関税引き上げの実施を前に輸入が急増した。

28日の発表によると、財貿易赤字は前月比25.6%増加の1533億ドル。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は1166億ドルだった。数字はインフレ調整されていない。

輸入は11.9%拡大して3254億ドル。産業資材や消費財がけん引した。輸出は2%増の1722億ドル。資本財の増加を反映した。

 

トランプ政権は国内生産の活性化や輸出促進、不公正とみなす貿易政策との闘いにおいて関税に目を向けており、月間の貿易統計が経済的および地政学的な重要性を増している。企業が製造拠点を米国に移すのは容易ではないため、こうした取り組みの実現は難しいとエコノミストは指摘している。

エコノミストはまた、米国の消費の高さや輸入を割安にするドル高といったマクロ経済要因も貿易赤字に大きく影響していると指摘。世界の基軸通貨としての地位がドル高を後押ししている面もある。

1月に輸入が急増したのは、関税引き上げに先立ち米企業が国外からの納入を確保したためとみられる。トランプ氏は今月に入って中国に10%の関税を賦課し、27日にはカナダとメキシコに対する関税を3月4日に発動すると述べた。中国に対しても、同日に追加で10%の関税を課すとした。さらに、いわゆる相互関税も4月に実施される見通しだ。

サービスも含めた1月の米貿易統計は3月6日に発表される。

原題:US Merchandise Trade Deficit Widens to Record on Import Surge(抜粋)

--取材協力:Chris Middleton.

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