高市早苗氏の自民党総裁選勝利を受け長期の日本国債のボラティリティーが上昇している。米国や英国の市場にも影響する可能性があると、ゴールドマン・サックス・グループが指摘した。

ビル・ズー氏らストラテジストはリポートで、高市氏が財政出動などの景気刺激策を重視する姿勢を示していることから財政拡張観測が強まり、長期の日本国債利回りが一段と上昇するリスクがあると分析した。

10ベーシスポイント(bp)相当の「日本国債ショック」が起きた場合、米国、ドイツ、英国の長期国債利回りに対しておおむね2-3bpの上昇圧力がかかるとの見方を示した。

日本の40年物国債利回りは6日一時、17ベーシスポイント(bp)急上昇した。高市氏の景気刺激策重視の姿勢を受け、当局が家計向け減税や景気下支えのために国債増発に踏み切るとの見方が市場で広がった。

世界的にも長期債への売り圧力が強まり、英国と米国の30年物国債利回りはいずれも最大6ベーシスポイント(bp)上昇し、それぞれ5.56%、4.77%となった。

ストラテジストは5日のリポートで「日本は今年、世界の長期金利に対して弱気方向のショックを純輸出してきた」と指摘。「高市氏の自民党総裁選勝利のニュースは、長期ゾーンの日本国債利回り上昇とイールドカーブのスティープ化につながるとみている」と記している。

今年は主要国の債券市場が日本国債と連動する局面がたびたび見られた。日本での超長期国債利回り急上昇が、世界的な財政赤字拡大への懸念による混乱を増幅する構図だ。

ゴールドマンのリポートは、各国政府が借り入れを拡大し、インフレが予想以上に根強い中で注視されている長期債に一段と焦点を当てる。

ここ数週間には、一部の国の債務管理当局や中央銀行が長期債を支える措置を相次いで打ち出している。日本の財務省も、今後の入札で超長期国債の発行を減らす案を提示した。

ゴールドマンのストラテジストはリポートで、長期ゾーンでの日本国債売り圧力が持続するかどうかは今後の政治情勢の展開に左右されるとの見方を示した。

野党側が減税を求める中、債券投資家の間では高市氏の勝利前から、財政支出拡大への警戒感がくすぶっていた。

7日に予定されている30年物国債の入札は、日本国債に対する需要を占う重要な試金石となりそうだ。

ストラテジストは「長期ゾーンの日本国債はここしばらく、通常の景気循環要因との連動が弱まっている。不確実性の高まりは当面は長期ゾーンのリスクプレミアムを高止まりさせるだろう」と指摘した。

原題:Goldman Sees Japan Bond ‘Shocks’ Spilling Over to Treasuries (1)、Goldman Sees Japan Bond ‘Shocks’ Spilling Over to Treasuries(抜粋)

(利回りを更新し第5、9段落を追加します)

--取材協力:近藤雅岐.

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