ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)は、同社初の生物多様性債券ファンドを始める。

GSAMはローマで開催される生物多様性に関する会議に合わせ、このファンドを投入。会議には約150カ国の交渉担当者が集まり、2030年までに年2000億ドル(約30兆円)を自然保護のために投資する計画の取りまとめを図る。

GSAMのグリーンソーシャルインパクト債券部門の世界責任者、ブラム・ボス氏はインタビューで、「既存の生物多様性または自然環境を基盤としたソリューションファンドのほとんどは、株式またはプライベートエクイティー(PE、未公開株)、クレジットに重点を置いたもので、流動性のある債券ファンドで生物多様性のための投資を行う機会を投資家に提供したいと考えた」と語った。

昨年コロンビアで行われた会議は暗礁に乗り上げ、今回は2回目の試みとなる。エネルギー安全保障や国防政策が政治の中心課題になっている現在、種の保護や清浄な水、土壌の保全のための資金を集める取り組みへの関心は薄い。

一方で、民間投資家から寄せられる強い関心は、生物多様性をウォール街にとって価値のあるテーマとするのに十分だ。

ボス氏は「これは成長市場だ。多くの顧客が何らかの取り組みを望んでいる。需要が最も大きいのは欧州だ」と説明。その上で、「米国は現在、持続可能性の観点ではより複雑な環境にある」と話した。

GSAMは、トランプ政権の政策が米国のESG(環境・社会・企業統治)ラベル付き債券市場に影響を与えると予想しており、企業はグリーンボンド(環境債)や持続可能性に焦点を絞った債券の発行を「控える」可能性があるとみている。

しかし、「このテーマが大きな勢いを得ている世界の他地域からの好ましい影響」で米国で想定される低調な起債というマイナス面が打ち消される公算が大きいとボス氏は述べた。

GSAMはこのファンド「ゴールドマン・サックス生物多様性ボンド」を今後3-5年で3億-5億ドル規模にすることを目標としている。ボス氏によると、このファンドには生物多様性に「ポジティブな影響」を与える発行体が選ばれる予定。

原題:Goldman Sachs AM Launches Its First Bond Fund for Biodiversity(抜粋)

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