大手格付け会社ムーディーズ・レーティングスは24日、フランスの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。少数与党による弱体化した政府は予算案の成立に困難を抱えており、格付け見通し変更は財政赤字拡大に対する警告を強めるものだ。

ムーディーズは24日の発表文で、「見通しをネガティブに変更する判断は、国内の政治的分断が今後もフランスの立法機関の機能を損なうリスクが高まっていることを反映している」と説明した。

さらに、「こうした政治的不安定さは、大幅な財政赤字や増大する債務負担、持続的な借り入れコスト上昇といった主要な政策課題に政府が対処する能力を妨げる恐れがある」と指摘した。

一方でムーディーズは今回、フランスの格付けを「Aa3」に据え置いた。これは投機的(ジャンク)水準を7段階上回り、英国やチェコ共和国と同水準にある。

フランスは過去数週間に相次ぐ格付け引き下げに見舞われており、S&Pグローバル・レーティング、フィッチ・レーティングス、モーニングスターDBRSの各社がいずれも格下げを実施した。長引く政治的混乱が激化し、財政危機へと発展するリスクが高まっていることが背景にある。

ムーディーズは、退職年齢を62歳から64歳に引き上げるフランスの年金制度改革の施行停止が数年以上に及んだ場合、財政面の課題が一段と増大し、経済の潜在成長率を損なう恐れがあると警告した。

 

原題:France Gets Fresh Warning on Finances as Moody’s Turns Negative(抜粋)

--取材協力:Greg Ritchie.

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