欧米系自動車大手ステランティスは、カナダのオンタリオ州ブランプトンの組立工場で全ての業務を一時停止し、次世代スポーツ型多目的車(SUV)「ジープ・コンパス」に関する作業もストップする。

広報担当のジョディ・ティンソン氏は20日、電子メールで送付した発表文で、「現在のダイナミックな環境に対応する中で、当社は引き続き北米における製品戦略の見直しを進めている」と説明。先に発表したブランプトン工場投資計画については、今回の措置に伴う変更はないとした。

トロント近郊の同工場では、「ジープ」ブランドの電気自動車(EV)やガソリン車の生産に向けてプログラムを一新する作業が行われており、完了すればフル稼働体制に戻る見込みだ。同工場の従業員数は約3000人。

プラグインハイブリッド型SUV「ジープ・コンパス」

同工場で働く労働者を代表する労働組合ユニフォー(UNIFOR)は、今回の「予期せぬ発表」は、「重大な懸念事項」だと指摘。同労組は設備刷新のスケジュールに疑問を呈している。

ユニフォーのラナ・ペイン代表は「北米自動車業界は米国による関税やEV優遇策撤廃といった絶え間ない脅威にさらされており、その混乱と不確実性が労働者や企業の意思決定にリアルタイムで影響を与えている」と述べた。さらに、そうした脅威がカナダの経済・雇用にも危険をもたらしていると警告した。

ユニフォーは、ブランプトン工場の新たなスタートが遅れれば、自動車生産に関連した地元の部品サプライヤーに影響が波及すると懸念している。

カナダのシャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相はソーシャルメディアへの投稿で、政府はステランティスおよびユニフォーと連絡を取り合っているとした上で、「ステランティスが約束を守り、ブランプトンでの計画を完遂するよう万全を期す」と表明した。

 

ステランティスは22年、EV生産に向け、オンタリオ州ウィンザーとブランプトンの工場に数十億ドルを投じて設備を刷新する計画を発表していた。

原題:Stellantis Halts Canada Plant With Strategy for Jeep in Flux (1)(抜粋)

--取材協力:Brian Platt、ドーソン・チェスター.

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