(ブルームバーグ):人工知能(AI)関連の次の勝ち組を探す中国の投資家は、急上昇している半導体メーカーからAI産業を支える電力会社や金属メーカーに注目を移している。
電力会社やデータセンター、素材など、AI関連のサプライチェーンに関心が移る背景には、純粋なAI関連株の高いバリュエーションに対する懸念の強まりがある。アナリストによれば、テクノロジーのエコシステムを支える企業は、AI関連テーマに比較的無理なく投資できる水準にある。
こうした変化は既に市場に表れている。中国のエネルギー株に連動する指数は10月に10%値上がりし、2カ月連続で中国本土株の指標、CSI300指数を上回る見通しだ。過去1カ月、CSI300指数構成銘柄で上昇率の上位10銘柄のうち7銘柄は、AIインフラ関連となっている。

BofA証券のマティ・ジャオ氏らアナリストは10月31日のリポートで、「電力がなければ、AIもない」とコメント。発電能力の大きさや電力コストの低さ、再生可能エネルギーの豊富さから、米国や欧州、東南アジアに比べて中国が有利な立場にあるとしている。
BofA証券の推計によれば、2030年までに中国のAI関連支出全体のうち約3分の1は金属や電力、冷却システムなどの支援設備の建設に向けられる見通しだ。
ブームの恩恵を受ける可能性が高い企業の例は以下の通り。
電力設備
データセンターによる電力需要の増加を背景に、電力設備メーカーが恩恵を受けている。UBSグループは最近、中国の電力需要の成長率見通しを2028-30年にかけて8%へと倍増させた。データセンターや輸出、電化の進展を要因として挙げている。
太陽光発電設備メーカーの阿特斯陽光電力集団(CSIソーラー)の株価は今月31%上昇。電気部品メーカーの特変電工の株価は同期間に約21%値上がりしている。一方、CSI300指数はこの間ほぼ横ばいにとどまっている。
AI向け金属
データセンターなどのAI関連施設の建設に使われる金属も、再評価されている分野の一つだ。価格は上昇しているものの、AIブームに比較的無理のない水準で投資できる手段とみるアナリストが増えている。
BofA証券は、データセンターが中国の銅需要をけん引する主要因になりつつあるとし、こうした施設での銅消費が30年までに年平均20%のペースで増加すると見積もっている。またアルミニウム株の上昇も続くとみている。

アルミニウム業界では、中国アルミが過去1カ月で約35%上昇し、CSI300構成銘柄の上昇率上位銘柄に入っている。山東南山や雲南も約30%上昇している。
原題:China’s AI Bets Pivot to Power, Metals as Tech Bubble Fears Grow(抜粋)
--取材協力:Jeanny Yu.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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