日本銀行の植田和男総裁は20日、石破茂首相と首相官邸で会談した。会談後、記者団に対し、足元で上昇が続いている長期金利については話題に出なかったことを明らかにした。

植田総裁は、長期金利が話題に上ったかを問われ、「きょうはそういう話はしていない」と語った。首相とは定期的に金融経済動向に関し一般的な意見交換をしているとし、来週開催予定の主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議に自身が出席する直前のタイミングで懇談の機会を持ったと説明した。

日銀は1月に政策金利を17年ぶりの0.5%程度に引き上げ、経済・物価が見通し通り推移すれば利上げで緩和度合いを調整する方針を維持した。植田総裁は記者会見で、今後の金融政策は「経済・物価・金融情勢次第で予断は持っていない」と述べる一方、中立金利には相応の距離があるとし、段階的に利上げを続ける考えを改めて明確にした。

日銀の追加利上げ観測を背景に、債券市場では長期金利の指標となる新発10年国債利回りの上昇が続いている。20日には一時1.44%と2009年11月以来の高水準を更新した。東京外国為替市場の円相場は約2カ月半ぶりの水準となる1ドル=150円台前半に上昇している。

両者の会談は石破首相の就任直後の昨年10月2日以来、2回目となる。初会談では、終了後に石破首相が「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と述べたことで、急速に円安が進行した経緯がある。日銀幹部発言や良好な経済指標を受けて足元で日銀の追加利上げ観測が強まる中、両者の会談が注目されていた。

(植田総裁の発言の詳細と市場の動きを追加して更新しました)

--取材協力:横山恵利香.

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